ソフトバンクが進めている働き方改革では、副業の許可など、かなりアグレッシブな施策が導入されている。斬新な反面、制度がうまく回らなかったり、悪用しようという動きはないのだろうか。実際にどう運用されているのか、問題点はないのかなどをうかがった。

就業時間や場所の自由化は現実に効果がある

ソフトバンクでは、本格的な超過労働対策としては2013年ごろから、また「Smart&Fun!」というキーワードの元、会社全体での業務への取り組み方を一新する目的では2016年10月ごろから、働き方改革について積極的にさまざまな施策を取り入れてきた。

試験的な導入も含めると、在宅勤務やスーパーフレックスタイム制といった仕事時間の短縮・最適化に向けたもの、またSmart&Fun!支援金や副業の許可といった、本人の能力向上や人脈強化などに向けたものの2種類に分けられるが、いずれも「今よりもクリエイティブな働き方になれば仕事が楽しくできるし、成果も出る」というメッセージ性を秘めている。

  • ソフトバンク働き方改革の具体的取り組み

  • 創造性のアップが目的

こうした取り組みそのものは、ソフトバンクの宮内社長が「Smart&Fun!」というキーワードを打ち出したとき、就業環境の改善意識を持っていた人事部が、そのメッセージに答えるかたちで提案していったものがほとんどだという。とはいえ、かなりアグレッシブな制度だけに、その導入には社内からも戸惑いや不安の声はあったようだ。

特に在宅勤務やスーパーフレックスタイム制などでは、制度を悪用してサボったり、うまく活用できない人が出て来るのではないかという懸念の声があったという。しかし実際の運用では、今の所大きな問題は起きていないという。もちろんサボるなどの悪用は起きうるが、結局は成果が出なければ当人の評価につながってくるので、積極的にサボることは難しいというわけだ。

また、スーパーフレックスタイム制で通勤時間が自由になりすぎると、会議ができなかったり、参加者の時間を合わせるための調整で負担が増えるのではないか、という懸念もあるが、これについても今の所大きな問題は起きていないとのこと。

というのも、スーパーフレックスタイム制を実際に導入してみたところ、もちろん部署によって状況は異なることもあるが、結局お客さんがいればそちらに合わせることになるし、ミーティングがあればそれを優先する人が多く、無法地帯にはなっていないそうだ。どちらかというと、仕事の状況やプライベートな理由によって本当に必要なときに利用できる制度として根付いてきているそうだ。