シャープは6月5日、東芝グループでPC事業を手掛ける東芝クライアントソリューション(以下TCS)の株式80.1%を40億500万円で取得し、子会社化することを発表した。政府許認可など、必要な手続きを経て、2018年10月1日に株式譲渡が完了する。今回の株式取得で、シャープはTCSが開発・製造・販売するPC「dynabook」ブランドやドライブレコーダーに関する製品、技術、販売チャネルなどを承継する。
東芝は構造改革の一環として、2016年4月1日にPC事業を完全子会社のTCSに移管。それ以降も、他社との事業再編を含めさまざまな案を検討していた。その結果、グローバル市場においてPC事業の競争力と企業価値を高め、事業を発展させていくのにシャープが最適だと判断したという。
シャープは自社のディスプレイや各種センサーといった先端技術とデバイスを、TCSが持つ製品やサービスと融合させる。シャープのAIoTプラットフォーム「COCORO+」とも連携させることで、自社製品やサービスの付加価値を高め、ホームやオフィスにおけるスマート化を推進していく。
シャープは自社のPCブランド「メビウス」を展開していたが、利益が上がらず2010年にPC事業から撤退した過去がある。だが2016年にシャープを買収した鴻海精密工業は、米デルなど大手からPCの受注生産を請け負うなど、PCの効率的な生産ノウハウを持つ。シャープは鴻海精密工業の下で培った経営能力や管理能力を駆使し、東芝のPC事業継承をシャープの企業価値向上に結び付けていきたいとしている。