IQbudsを開梱すると、ケースに収まったイヤーチップに目が留まります。形状は楕円と真円の2種類、それぞれ4サイズ(楕円はS・M・L・XL、真円はXS・S・M・L)の計8セットが用意され、楕円のMサイズが製品に装着されていました。完全ワイヤレスは耳にフィットさせないと外れやすいため、イヤーチップの種類が豊富なことは重要なポイントです。

  • 完全ワイヤレスイヤホン「Nuheara IQbuds」レビュー

    付属のイヤーチップ。形状は楕円と真円の2種類、各4サイズの計8セットが用意されています

今回の試聴はiPhone Xとの組み合わせで行いましたが、ペアリング完了までの流れはスムーズそのもの。取り出してから耳に装着し、ペアリング(iOSの場合「設定」アプリで行う)から実際に音が出るまでの手順を、ていねいに画面で見せてくれます。完全ワイヤレスは左右間の通信も行うため、ペアリングの段階で足踏みしがちですが、ここまで手取り足取りならば安心でしょう。

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    iOS/Android OS用アプリ「IQbuds」を利用すると、ペアリング完了まで、ていねいに誘導してくれます

屋内のテレビはどんな感じ?

最初のテストは、筆者宅の居間でテレビのバラエティ番組を視ながら行いました。IQbudsを装着すると、聞こえる音の印象が一変。出演者の声の聞こえかたは特に変わりませんが、ふだん窓から聞こえてくるクルマの走行音がグッと小さくなり、結果として出演者が話す内容がしっかり聞こえてきます。テレビの音量を数段階下げても問題なく聞き取れるところがポイントです。

この効果を実現するニューヒエラの独自技術「SINC」は、専用アプリで調整できます。先ほどのテスト開始段階では、街中の騒音を抑える「Street」が選択されていました。ほかにも、家庭で会話するときに適した「Home」、飲食店特有の騒音を和らげる「Restraunt」、航空機やジェットエンジンの音を低減する「Plane」など、計7種のプリセットが用意されています。

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    聞き取りアシストの効き具合は、航空機やジェットエンジンの音を低減する「Plane」など計7種のプリセットから選べます

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    ノイズと音声のバランスはプリセットごとに微調整できます

屋外ではどんな感じ?

別のシチュエーションで効果を確認すべく、電車に乗って出かけました。最初はプリセットに「Street」を適用してみましたが、「Driving」か「Plane」のほうが周囲の雑音が気にならない印象です。

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    テストは近所の公園からスタート、駅まで歩き電車に乗ってみました

ノートPCをタイピングする音が変化する(パチパチという音がやや強くなる)など、中高域にかけて音の聞こえかたが変わるといった、やや違和感はありますが、周囲の話し声がふだんより鮮明に聞こえてきます。聞いてはいけなかったり、聞きたくなかったりする話も耳に入ってきますから(ふだんも入ってきているのでしょうが雑音で聞き取りにくい)、活用方法としては不適切かもしれませんね。

筆者の耳の調子は至って良好なため、聞こえにくくなってきた耳にどの程度の効果があるかは正直なところわかりません。でも、音の洪水の中から人の会話だけ浮かびあがるかのような効果が、IQbudsおよびSINC技術にあることは確かです。

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    左右それぞれに異なるプロファイルを設定することも可能です

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    タップ/ダブルタップしたときの動作はカスタマイズできます

音楽再生はどんな感じ?

音楽再生も試してみました。ドライバーはバランスド・アーマチュア(BA)型を1基搭載、対応コーデックはSBCのみというシンプルな構成ですが、音にもしっかり配慮されているという印象です。

BA型らしく中高域にかけてのキレと透明感があり、ポップスやロックはそつなくこなせます。もう少し低域の量感があればとも思いますが、聞き取りアシスト機能が主で音楽再生が従と考えれば、じゅうぶん納得できるレベルでしょう。補聴器は高いし抵抗があるけれど、音楽再生と兼用であれば……という向きにはいいチョイスになるはずです。

ニューヒエラによれば、販売好調な欧州では、補聴器を取り扱う薬局やメガネ店にも販路を拡大中とのです。IQbudsのようなイヤホンは、実際に試したうえで購入できる環境が必要なのかもしれません。ここ日本でも、蔦屋家電など実店舗での展示を計画しているそうですから、今後の展開に期待しましょう。