働きやすさ追求のための思い切った施策も

それではソフトバンクが「Smart&Fun!」で実行している具体的な取り組みについて見ていこう。まずは2017年2月にプレミアムフライデーをいち早く導入。同年4月には既存の在宅勤務制度を拡充し、対象者が週1日から週3日まで利用できるようにしたほか、約1万人を対象に、コアタイムを撤廃した「スーパーフレックスタイム」を導入。より効率的に働けるようにすることで、成果の最大化を図る試みだ。また「Smart&Fun!支援金」として、自己成長機会への投資用として、正社員に毎月1万円を2年間支給することも開始した。

  • スーパーフレックスタイムの実際の使用例。閑散期と繁忙期で出勤時間を分けるなど、積極的な運用で自分の時間を作るとともに、業務時間内における成果を最大化しようという試みとして受け入れられているようだ

さらに第2弾として、2017年11月からは、ある範囲のエリア内に自由に座れる「グループアドレス制」の導入や、サテライトオフィス利用を段階的に開始。将来的にはWeWorkが展開するコワーキングスペースのサテライトオフィスとしての利用も含めて検討しているという。

これに加え、就業規則を改訂し、社員のスキルアップや成長につながる副業を許可制ながら認める、という大きな変革を実現した。こうしたスキルアップ向けの施策としては、7月から実施している「プレミアムフライデー交流会」に代表される他社との交流会も継続的に実施することで、副業や交流先から得られた知見やノウハウを業務に生かし、イノベーションにつなげたいとしている。

このほか、全社員を対象にスキルアップのためにeラーニングを実施したり、管理職向けにマネジメント意識改革のためのeラーニングや研修を行うなど、社員・管理職の双方に対して意識面からの改革も実施している。

フレックスタイムを柔軟化したり、他社との交流会を実施するまではともかく、自己成長用の資金を提供したり、副業を許可するというのは、国内企業ではかなり珍しい例だろう。ソフトバンクは、以前から留学休職を導入するなど、日本企業離れした施策も取り入れる、労働環境の変革に積極的な組織だ。働き方改革「Smart&Fun!」についても、単に仕事の時間を短くするだけでなく、仕事も、そこで働く人も、ともにレベルアップしていくことで会社の価値を向上していこうという意気込みが伺える。

ソフトバンクの取り組みは他社でもすぐに実施できるものではないだろうが、働き方改革という機会をきっかけに、企業全体のワークフローの見直し、効率の向上へとつなげていくヒントにすることはできるのではないだろうか。