Googleは5月24日、同社の決済サービス「Google Pay」のサービス拡充を発表。新たに電子マネーの「Suica」と「WAON」に対応したほか、オンラインサービスの決済にも対応。さらに夏以降、JCBなどが発行したクレジットカードにも対応し、非接触決済の「QUICPay」が利用可能になるとのことです。

  • Google Payが「Suica」「WAON」に対応し、主要な電子マネーサービスを全てカバーできるようになった

Googleのアカウントと紐づいた決済サービス

同日にGoogleが実施した発表会で、Google Pay グローバル ビジネス ディレクターであるDong Min Kim氏は、Google Payの特徴と現状について改めて説明。Google PayがGoogleのアカウントと紐づいたサービスであり、デバイスや環境を問うことなく、Googleのアカウントにサインインすれば簡単に支払いが利用できること、そして既に18カ国でサービスを提供しており、1億回以上インストールされていることなどをアピールしました。

  • GoogleでGoogle Pay グローバル ビジネス ディレクターを務めるDong氏

またDong氏によると、モバイルからのEコマースが51%で、FeliCaを用いた非接触決済が利用できる店舗が247万カ所存在するなど、「日本はGoogle Payにとっても重要なマーケットであり、モバイルでリーダー的な役割を担っている」とのことです。そこでGoogleも、日本のマーケットに向けた特別なデザインが必要と考え、Google Payに関して3つの取り組みを新たに発表するに至ったのだそうです。

  • 日本ではモバイルからのEコマース利用や、FeliCaによるモバイル決済が利用できる店舗が多いことから、Google Payでも新たな対応を打ち出すに至ったとのこと

SuicaとWAONに新対応。主要電子マネーをカバー

1つは、JR東日本が展開する電子マネーサービス「Suica」に対応したこと。2つ目は、イオンリテールが展開する電子マネーサービス「WAON」に対応したことです。Google Payは既に「楽天Edy」「nanaco」に対応していることから、今回2つのサービスに対応したことで、国内の主要な電子マネーサービスに対応したこととなります。

  • 新たに「Suica」にも対応。Google Payのアプリ上からチャージはできるが、オートチャージなどの設定はできないとのこと

いずれのサービスもおサイフケータイに対応したAndroid 5.0以上のスマートフォンで利用でき、登録したクレジットカードを経由してそれぞれの電子マネーにチャージすることも可能。アプリ内から各種電子マネーの発行ができるほか、各電子マネーの一定の金額を下回った場合、通知してくれるリマインド機能も搭載するなど、利便性が高められています。

ただしJR東日本が発行するクレジットカード「VIEWカード」で利用できるSuicaへのオートチャージなどは、Google Payのアプリ上から設定することはできず、別途専用のアプリやサービスなどから設定する形になるとのことです。また機種変更時の電子マネーの移行に関しては、おサイフケータイ同様、個々の電子マネー毎に移行の手続きをする必要があるとのこと。こうした点はApple Payと比べると手間に感じる部分であり、今後何らかの解消が求められるところです。

一部オンライン決済でGoogle Payが選べるように

そしてもう1つは、オンライン決済にGoogle Payが利用できるようになったこと。こちらは当初、「全国タクシー」「minne」など5つのサービスで利用可能とのことで、対応するサービスでは決済手段の1つとして「Google Pay」が選べるとのこと。こちらはおサイフケータイ非対応のAndroidスマートフォンでも利用可能だそうです。

  • 新たにオンライン決済にも対応。対応するサイトから「Google Pay」を選べば、登録したクレジットカードを用いて簡単に決済ができる

  • 対応するWebサイトは「全国タクシー」「バニラエア」など5つだが、Googleが提供する「Google Pay API」を用いれば決済手段の追加が簡単にできるとのこと

2018年夏以降、QUICPay決済にも対応予定

また、Google Pay プロダクト マネージャーであるZak Stern氏によると、夏以降にはJCB、ジャックス、そしてKyashから発行されたクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードに対応するとのこと。いずれのカードもオンライン決済と電子マネーへのチャージだけでなく、QUICPayによる非接触決済が利用可能になるとのことで、これが実現すれば電子マネーだけでなく、クレジットカードを直接用いたオフライン決済も可能になります。

ただ一方で、QUICPay同様FeliCaを用いたクレジットカードの非接触決済基盤であるiDに関して、Zak氏は「今日はそこまでの発表はない」という回答にとどまっています。対応するサービスの幅に関しては、まだ課題があるといえるでしょう。

Google PayはSuicaなど主要電子マネーに一通り対応したことに加え、オンライン決済への対応によって、利用の幅が大きく広がったことは確かです。しかしながらApple Payと比べると手軽さの面ではまだ課題があるほか、おサイフケータイの利用者にとっては対応する決済サービスがまだ少なく、Google Payを利用する明確な理由に乏しい部分があるのは確かです。今後はオフライン決済の充実に加え、おサイフケータイにはない特徴となったオンライン決済の対応店舗拡大などによって、Google Payの魅力自体を高めていく取り組みが、一層求められることとなるでしょう。