ただ、まだ大々的に輸出するまでの生産量には至っていない。メルシャンが長野県にブドウ農園を増やし、ワイナリーを増設するのは、こうした日本産ワインの需要の高まりに応えるためといえる。

一方、こうしたワイン人気の高まりに反応し始めた業界がある。もっとも消費者に近い存在であるコンビニだ。

特にセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン)がワイン人気に敏感に反応している。セブンといえば、プライベートブランドを積極的に仕掛けている。それはワインでも同じで「ヨセミテ・ロード」というシリーズを展開してきた。そして昨年、サントリーワインインターナショナルと共同開発した「ワールドプレミアム」シリーズを投入した。

同シリーズは、世界6カ国の名門ワイナリーの商品を統一ブランドで展開する非常に珍しい戦略を採った。サントリーとの共同開発だが、セブン限定で販売される。価格帯は1,000円以上と、売れ筋の価格帯よりかは高額だが、ワイン中級者を取り込むための商品としての位置づけ。

戦略的な価格のワインを投入

セブンプレミアムのビノセントシリーズ

そしてセブンは、さらにワインで仕掛けてきた。セブンプレミアムのブランドとして「ビノセント テンプラニーリョ」(赤)、「ビノセント アイレン」(白)を投入してきた。両方とも498円と戦略的な価格で、ワイン初心者をねらった商品だ。こうした安価な商品でワインに慣れ親しんでもらい、いずれは中級者向けのワールドプレミアムへの移行を考えているのかもしれない。

いずれにせよ、若者のお酒離れが進んでいるなか、コンビニ大手のセブンがワインに注力してきた。日本ではまだ伸びしろがあるワインだけに、今の施策が今後のワインブームの高まりにつながるかもしれない。