α7 IIIを手にした瞬間、それまでさんざん頭を悩ませていた「α9にするかα7R IIIにするか」問題が一挙に解決する可能性はきわめて高い。そう、予想だにしなかった「なんだ、これで(これが)いいじゃん」事件が勃発するのである。実際、「いま買うべきフルサイズαを1台だけ選ぶのなら、やっぱりα7R IIIだろうなぁ」などと漠然と考えていた私は、α7 IIIを使った後、お恥ずかしながらアッサリ「コレ買う」に変節。

  • 落合カメラマンは「フルサイズαで1台だけ選ぶならズバリα7 III」と高く評価する

α9との比較で高感度画質が良かった(「高感度画質の印象が良かった」が正確。ノイズリダクション処理におけるエッジの立て方などに差があるように見受けられ、同一感度におけるノイズ感はほぼ同等も仕上がりを一見したときの鮮鋭感に勝るのはα7 IIIの画質だった)ことにケツを蹴飛ばされての勢い余った結論でもあるのだけど、気軽な普段使いから本気の動体撮影まで過不足なくちょうどよく不満なく使えるフルサイズαは、現状α7 IIIを置いて他にはないと確信するに至ったのだ。EVFの“見え”はα9やα7R IIIと比較しちゃうと明らかに見劣りするのだけれど。

予想される実勢価格を考え合わせると、α7 IIIの存在はフルサイズ陣営のみならず、APS-Cやマイクロフォーサーズのフラッグシップ系モデルをもビビらせることになるに違いない。このインパクト、ひょっとしたらα9デビュー時よりも大きいんじゃなーい?

  • α7 IIIの登場は、ミラーレス一眼だけでなく一眼レフにも影響を及ぼしそうだ

著者プロフィール

落合憲弘(おちあいのりひろ)
フリーカメラマンとして独立した3カ月後に昭和が終わり、フリーカメラマンとして息も絶え絶え何とか歩んできた果てに今度は平成が終わる…。子どものころ、なんだか特別な存在に思えていた「明治生まれ」に自分がなってしまうかのような、この果てしなきジジイ感は何!?と人知れず悩んでいる五十路男。花粉症歴45年。2018年カメラグランプリ選考委員。