ミラーレス「X-T2」以降、富士フイルムが標榜するXシネマ。それは、Xシリーズを使用した、F-LOG出力が可能な4K動画を指します。そのXシネマを取り巻く環境もまた、X-H1の登場によって進化を遂げています。
もっとも象徴的なのは、フィルムシミュレーションに、富士フイルムがかつて製造販売していた映画撮影用ネガフィルムを「ETERNA(エテルナ)」が追加されたことでしょう。さらにもうひとつ無視できないのが、X-H1を多分に意識したMKXシネマレンズ「MKX18-55mm T2.9」と「MKX50-135mm T2.9」の登場です。CP+2018の富士フイルムブースでは、これらのシネマレンズを装着したX-H1も試せます。
「シネマレンズって、普通の静止画撮影用レンズとどう違うの?」
そんな疑問を感じる読者諸氏もいらっしゃるでしょう。その答えはズバリ「精度」。
たとえば、一般的な静止画用レンズでは、ズームごとにピントが変わってしまうため、ズームを操作するたびに合焦し直す必要があります。合焦時の不自然な画角移動(ブリージング)も起こりますね。でも、上記2本のシネマレンズは、これらの問題が起こらないように設計されているのです。
操作はいずれもフルマニュアルで、ズーム、絞り、ピントの3連リングは実にスムーズに回転。ズーム、ピントともリングに刻まれた距離指標に対して、忠実に移動します。絞りも無段階に柔らかく動き、きわめて繊細な露出制御が可能なことに驚きました。
ブーススタッフも「1000万円以上するシネマレンズに比肩する実力がありながら、MKXレンズはここまでコンパクトで、価格は50万円台。それはミラーレスシステムとシネマレンズの技術を両方持つ富士フイルムだからこそ可能なのです」と胸を張ります。
さすがにシネマレンズまで手を出すつもりは……という皆さんも、後学のために、またX-H1の懐の深さを知るために、この機会にプロの機材に触れてみてはいかがでしょうか。