HomePodは、稼動している13億台のAppleデバイス所有者のうち、アメリカ、イギリス、オーストラリアでApple Musicを利用している3,600万人のユーザーが対象の製品だ。

Bloombergによると、349ドルのHomePodの組み立て原価は216ドルといわれている。Appleからすると、利幅の薄い製品となり、iPhoneのようなビジネスの核となる製品を目指して作られているわけではないことがわかる。狙いとして、Apple Music会員を増やし、結果的にiPhoneを継続的に使うユーザーを囲い込むといったストーリーを考えているのではないだろうか。

一方、スマートスピーカーとして見た時、HomePodはApple WatchとAmazon Echoに近い進化を遂げていくだろうと予測できる。すなわち、サードパーティーのアプリによる汎用性の拡大、機能や用途の新たな発見を、進化の源泉にする、ということだ。

AppleはiPhoneアプリの役割を変化させようとしている。すなわち、アプリに対して、Appleデバイス間の連携をとりもつ役割を与えようとしている。現在、iOSアプリはiPhone、iPad、Apple TV、Apple Watch向けのアプリを統合して開発できるようにしており、iPhoneアプリはApple Watchアプリを含めて配信することができる。

これと同じ事が起きるなら、iPhoneアプリがHomePod向けのアプリ、例えば「ホーム」アプリを含んで配信し、iPhoneからHomePodのアプリを管理して活用できるようにする使い方を、将来提供するようになるのではないだろうか。この点は、Amazon Echoのアプリの使い勝手の悪さと比べると、現段階でも大きなアドバンテージを得ることになる。

「ホーム」アプリの例で言えば、HomeKitに対応するフィリップスの電球「Hue」が、HomePodにネイティブアプリを提供し、音楽に連動した照明の演出を作り出してくれても面白いし、Apple TVで映画を観る時に、自動的に照明を落とす、といったオートメーションを実現してくれるというアイディアでも良いだろう。

また、一般的なiPhoneアプリの通知をHomePodが伝えてくれても面白い。おそらくHomePodでのアプリ利用は、Siriを通じた操作や通知を行うことになるはずで、結果的に、「ホーム」アプリというより「Siri」アプリという位置づけになるかもしれないが、HomePodの機能を拡充していく上で、アプリ環境の充実は期待したい点の1つだ。