そしてこの取り組みはさらなる広がりをみせる。2018年1月下旬、都内某所で「オフィスキャンパーズ」のイベントが開催された。このオフィスキャンパーズは、オフィス内外のアウトドア化をサービスとして法人企業に提供し、働き方改革を推進するというもの。

同イベントはロフトワーク、WORK MILL(岡村製作所)、そしてスノーピークビジネスソリューションズが中心となった。なお今回、東急電鉄は参加していないが、きっと意識しているにちがいない。

同イベントでは、オフィスフロア内にファミリー向けの大型のテントを設営し、そこでの居住性や快適性を体験するという会になっていた。徹底していると感じたのは、テントだけでなくテーブルやディレクターチェア、ベンチシートなど、すべてアウトドア向けの製品になっていたこと。フロアには人工芝のカーペットが敷かれ、オフィスの中なのにキャンプ場の雰囲気が強く漂っている。当然、普段オフィスで使っているチェアと異なり、リラックスした姿勢で座れる。

  • 薪が置かれたテーブル。もちろんオフィス内では着火はできないが、雰囲気が増す。リラックスできるディレクターチェア

そしてテント内。テーブルの周囲にはシッティング・クッション(座布団)が置かれ、脚を崩して座ることができる。テントのルーフには乾電池式ランタンが吊されている徹底ぶりだ。

BCP対策にも一役買う

このテント内に入ってみて気づいた点がいくつかある。まず、前述したように脚を崩して座れるので、リラックスした姿勢がとれること。そして、この表現でいいのか疑問は残るが「ひざ詰め」で話ができ相手の表情も読み取りやすい距離となる。会議室の広い机の一番端に上長が座りにらみをきかせ、発言しづらいという重々しさは低減されそうだ。事実、多摩川での実験の際、参加企業のいくつかに話をうかがったが、「普段、無口な社員が饒舌になった」という意見も聞こえてきた。

BCP(事業継続計画)の観点からも役に立ちそうだ。重大な災害が起きた際は速やかに避難・帰宅するのは当たり前だが、短時間で復旧が見込めそうな停電、エレベーターの故障時など、一時避難的にテントを活用できる。公共交通に異常が生じた際、帰宅困難者に備蓄した食料を配布するベースとしても有用だろう。

とにかく、これまでのオフィスにはない開放感があるのは確かだ。キャンピングオフィスはまだ始まったばかりの取り組みだが、今後どのように広がりをみせるか注目したい。