STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)とオーディオ・メーカーのUSoundは、昨年発表した技術協力に基づき、シリコン・マイクロスピーカの提供を開始したことを発表した。 同製品は、現在サンプル出荷中で、ラスベガスで開催されたCES 2018においてデモが実施された。

同製品は、イヤホン、オーバー・イヤー型ヘッドホン、AR・VRヘッドセットなどのウェアラブル機器をより小型化し、快適性を向上させる超小型スピーカ。超低消費電力によりバッテリを小型化できるため、重量とサイズの低減に加えて従来品のような発熱がなく、世界最薄かつ従来品の半分以下の重量となる見通しだという。

また、スマートフォンやウェアラブル機器を可能にしてきたMEMS(微小電気機械システム)技術を活用。シリコン・チップに形成されるMEMSデバイス(モーション・センサ、 圧力センサ、 マイクロフォン)は、状況認識、ナビゲーション、トラッキングなどの機能を実現する重要な技術であり、MEMS技術がスピーカに採用されたことで、設計者は、オーディオ・システムを小型化・低消費電力化しながら、3Dサウンドのような開発が可能となる。

これにより、モバイル機器やオーディオ・アクセサリ、ウェアラブル機器、さらにはホーム・デジタル・アシスタント、メディア・プレーヤ、IoT機器などに活用できる。

また、USoundは、CES 2018の期間中に併設されるSTのプライベート・スイートにおいて、 複数のMEMSスピーカを左右に搭載した眼鏡型AR/VR端末の試作品のデモを実施した。このデモは、超薄型・軽量・高音質のMEMSスピーカを採用することで、サイズ、重量、消費電力に厳しい制約のある眼鏡型ウェアラブル機器などに搭載される超小型オーディオ・システムでも、プライベート・オーディオ用ビーム・フォーミング技術などの先進的な機能を利用でき、卓越したオーディオ体験が得られることを実証した。

STのバイスプレジデント兼 MEMSマイクロアクチュエータ事業部ジェネラル・マネージャであるAnton Hofmeister氏は、 次のようにコメントしている。「この製品には、USoundの設計技術と、先進的な圧電薄膜技術のPεTra(圧電トランスデューサ)を含む、MEMS分野におけるSTの幅広い専門性と大規模な製造プロセスが生かされています。 USoundとSTは、 圧電アクチュエータを活用し、超小型で高効率、そして優れた性能を備えたソリューションを実現し、MEMSマイクロ・スピーカの商品化において優位性を発揮しています。」

USoundの最高経営責任者(CEO) Ferruccio Bottoni氏は、「STの製造技術と量産能力により、当社独自の概念が、コンスーマ市場をリードする先進的な製品として実現しました。 この超小型スピーカは、オーディオ機器やヒアラブル機器の設計を変革するとともに、独創的なオーディオ機能を生み出す新たな可能性を切り開きます」と述べている。