CES 2018に合わせてDELLが発表したノートPC「XPS 15 2-in-1(9575)」。最大の特徴はAMD製ディスクリートGPU「Radeon RX Vega M」を搭載した第8世代Intel Coreプロセッサを採用する点だが、それ以外にもチェックしておきたいポイントがいくつもあった。
クラムシェル版「XPS 15」よりも薄い、その理由は?
XPSシリーズといえばDELLがほこるプレミアムPCシリーズだ。ノートPCとしては13.3型モデル「XPS 13」、同じく13.3型の2-in-1モデル「XPS 13 2-in-1」、15.6型モデル「XPS 15」の3製品を展開している。
中でも「XPS 15」は大型ディスプレイに加えて、ディスクリートGPUを搭載したハイパフォーマンスなモデルとして位置付けられている。
さて「XPS 15 2-in-1(9575)」のスペックを見ると、本体の厚さが16㎜(最厚部)となっており、クラムシェルタイプのXPS 15(9560)の17㎜から1㎜ほど薄型化している。それは何故か。1つはキーボードだ。
XPS 15 2-in-1(9575)では、ばねやラバーではなく、マグネットでキーを保持する「maglev keyboard」を採用する。これによってキーボードユニット自体の厚みを24%削減した。また、スイッチの摩耗につよく、同社が行ったテストでは12,000回の打鍵でも劣化なく使用できたという。
実際に現行のXPS 15(9560)と比べて見るとその差は一目瞭然だ。その分、キーストロークもかなり浅い。実機で少し試してみた限りでは、Macbookのバタフライキーボードに近いタッチで、現行モデルとは明確な違いがあった。この辺りは好みが出そうだ。
また、Radeon RX Vega M搭載の第8世代Intel Coreプロセッサは実装面積が小さく、空いたスペースにファンやヒートパイプを追加できたことも薄型化に貢献しているという。
インタフェースの変更も影響していそうだ。XPS 15(9560)ではUSB 3.0 Type-A×2、Thunderbolt 3×1、HDMI×1といった構成だったが、XPS 15 2-in-1(9575)ではThunderbolt 3×2、USB 3.1 Type-C×2と全体的に小型になった。
充電端子も独自のものからUSB Type-Cとなり、これに伴ってアダプタも変更となっている。会場で使用されていたアダプタの出力は130W。
明るいディスプレイとペン対応
XPS 15(9560)とXPS 15 2-in-1(9575)を見比べてみて、もう1つ気が付くのは画面の明るさだ。スペック上ではXPS 15(9560)の輝度が350nit、コントラスト比が1200:1、XPS 15 2-in-1(9575)では輝度400nit、コントラスト比1500:1だ。XPS 15(9560)でも画面はかなり明るい方だが、それよりもさらに高輝度、高コントラスト比で、メリハリの利いた画だ。
XPS 15 2-in-1(9575)はペンも新しい。従来のDell Active Penは2,048段階の筆圧検知に対応していたが、XPS 15 2-in-1(9575)で採用するDell Premium Active Penは筆圧検知を4,096段階に強化。さらに傾き検知をサポートする。
発表会ではさらに"遅延の低さ"をアピールしていたが、こちらについてはDELLの展示スペースに合った実機ではかなり遅延がなく、ペンの動きに線が追随する感覚があるが、別のスペースで展示されていたものを触れたときには、少しタイムラグがあった。この辺りはまだまだ調整中ということかもしれない。
パフォーマンスは4コアCPU + GTX 1050と同等?
やはりプロセッサの性能も気になるところだ。DELLの展示スペースにはRise of the Tomb Raiderがインストールされていたので、Intel Core i7-7700HQ + NVIDIA GeForce GTX 1050 4GBを搭載したXPS 15(9560)と簡単に比較してみた。
展示機に搭載されていたのはIntel Core i7-8705G。4コア/8スレッドのCPUとCompute Unitsが20基のRadeon RX Vega M GLを同一パッケージに収めたものだ。
ベンチマークの設定は解像度がフルHD(1,920×1,080ドット)、Direct X12を有効、画質設定が"Hign"だ。2回試行し、高い方の値を採用した(とはいえ2回の差は2~3fps程度だが)。もちろんバッテリー駆動ではなく、電源アダプタに接続した状態でテストしている。
テストシーケンス | XPS 15 2-in-1(9575) | XPS 15(9560) |
---|---|---|
Mountain Peak | 39.81fps | 46.51fps |
Syria | 36.08fps | 34.57fps |
Geothermal Valley | 36.67fps | 36.59fps |
Overall | 37.61fps | 39.71fps |
総合的なフレームレートでは、それほど大きな違いがない。ただ、冒頭のMountain Peakで、XPS 15 2-in-1(9575)がフレーム落ちしており、これでスコアが下がっている。実機ではもう少し伸びる可能性もある。
ちなみに通知領域にあったIntelロゴをクリックすると、Radeon Softwareが立ち上がった。
大画面2-in-1 PCの本命となるか
さて、XPS 15 2-in-1(9575)とXPS 15(9560)を簡単に比べて見たが、単に「Radeon搭載CPU採用」だけにとどまらない違いがあった。
- より薄型化
- キーボード
- インタフェース
- 画面
- 高輝度/高コントラスト
- 高コントラスト
- ペン対応
- 4,960段階の筆圧検知
- 傾き検知
まだ2018年版のXPS 15(おそらく9570?)は発表されていないので、これがどこまでXPS 15 2-in-1(9575)固有の仕様かどうかは分からないが、これまでのクラムシェル版XPS 15使っていたユーザーにとっても魅力的な製品になっているのではないだろうか。