宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月12日、2017年12月23日に打ち上げた気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)に搭載した「多波長光学放射計(SGLI)」により取得した初めての画像を公開した。

同画像は、衛星が所定の機能・性能を有しているかどうかを確認するために行う初期機能確認運用を実施していた1月1日から6日にかけて取得されたもの。「しきさい」は、近紫外から熱赤外までの19の観測波長帯(色)を持ち、偏光・多方向、近紫外観測といった特徴的な機能を有しており、1000km以上の観測幅で地球全体を250mの分解能で約2日間で観測することができる。

  • 「しきさい」搭載SGLIによる日本列島・オホーツク海周辺のカラー合成画像

    「しきさい」搭載SGLIが2018年1月6日に取得した250m分解能の観測データをもとに、人間の肉眼での見た目に近い色で合成したトゥルーカラー画像 (C) JAXA

今回公開された画像は、初期機能確認の中で取得されたデータの中から、観測センサの特徴を表すものとして、日本近辺の海氷、沿岸域の海色、植生およびガンジス川流域でのエアロゾルの様子などをそれぞれ見やすい色合いになるように処理したものとなる。

  • 「しきさい」搭載SGLIによる日本列島・オホーツク海周辺の擬似カラー画像(左)と樺太周辺部分の拡大図(右)

    「しきさい」搭載SGLIが2018年1月6日に取得した画像。カラー合成に使用する波長帯の一部に近赤外域および短波長赤外域の波長を用いた疑似カラー合成を施したものとなっている (C)JAXA

なお、初期機能確認運用は打上げから約3か月ほど行われる予定で、JAXAでは、それを終えた後、地上観測データとの比較などによるデータの精度確認やデータ補正などを行う初期校正検証運用を開始する予定だとしている。

  • ここに画像の説明が入ります

    「しきさい」搭載のSGLIが2018年1月6日に250m分解能で観測した関東沿岸・沖合いのカラー合成画像。SGLIは暗い海面を高感度に観測可能な海洋観測用チャンネルを備えており、水中の縣濁物質やプランクトンの濃度差によって生じる僅かな色の違いを捉えることができる (C)JAXA