「関越道の高坂サービスエリアを先頭に、約40kmの渋滞が発生しています」「中央道の小仏トンネル付近で約25kmの渋滞発生中」「東名高速、海老名サービスエリア付近で約30km、渋滞しております」。

ヘリコプターで空撮された高速道路には、延々とクルマの赤いテールランプが連なり、上記のようなアナウンスとともに報道される。もうこれは、年末年始の風物詩ともいえる光景だ。地元に帰省する人、地方でレジャーを楽しむ人のクルマで、各高速道路はごった返す。ただ、こうした報道があまりされない高速道路がある。東京のど真ん中を走る、首都高速道路(以下、首都高)だ。

ほかの高速とは渋滞の性格が異なる

首都高といえば、放射線状に日本全国に延びる各高速道路の巨大なハブだ。東名高速からきたクルマが東北自動車道に乗り入れたり、中央道から京葉道路に向かったりする際に大きな役割を果たす。

こうしたハブの役割や交通量の多い東京という地勢を考えれば、大渋滞が発生し、それを報道機関が取材しそうなものだ。ところが、「首都高渋滞中」といった内容のニュースは、とんと聞かない。

「渋滞しないのかな……」と思ってしまうが、そんなことはない。実は渋滞している。だが、放射線状に延びる各高速道路の渋滞とは性格が異なり、発生時期もズレている。

首都高速道路の鈴木祐太郎氏(左)と川野祥弘氏

首都高速道路 計画・環境部 快適走行推進課の鈴木祐太郎氏によれば、「首都高の交通量がもっとも多くなるのは12月です。ただ、連休に入ると落ち着きます」と話す。同じく快適走行推進課の川野祥弘氏は、「この傾向はゴールデンウィークもお盆休みも同じです。連休に入ってしまえば交通量は落ち着きます」と付け加えた。