スマートフォンに次ぐ新たな情報機器として注目されている「スマートスピーカー」。音声によるリモート操作で家電の操作やニュースの読み上げなどを行えるものだが、現状は技術者や"新しい物好き"の人たちが注目している段階だ。

そんなスマートスピーカーをはじめとしたIoT機器を、新築マンション全戸に一斉導入するという。今回は、モデルルームでのデモンストレーションを見学し、こうした機能を希望者のみへ提供するのではなく、一括で取り入れることへの狙いを聞いた。

マンション全戸にスマートスピーカー「Amazon Echo Plus」が導入される

全戸にスマートスピーカーなどIoT機器を導入すると発表したのは、神奈川県・横浜市の新築分譲マンション「横浜MIDベースタワーレジデンス」。電力などエネルギーデータのリアルタイム分析プラットフォーム「エネトーク」、スマートスピーカー「Amazon Echo」、Wi-Fi学習リモコン「スマート家電コントローラ RS-WFIREX3」の3点が、全室に導入される。機器の手配はソフトバンク、および同社グループのエンコアードジャパンが対応する。

エネトークの設置見本。家屋内に取り付けるセンサーによって、高齢者の見守りにも応用できるという

エネトークは各家庭の分電盤に設置され、電力の利用データをクラウドにアップロードし、電気の波形で家電種別を認識して分析することで、TV、エアコンなど主要家電の利用状況をスマホアプリ上で可視化する。

Wi-Fi学習リモコン「スマート家電コントローラ RS-WFIREX3」

「スマート家電コントローラ」は、エアコンやTVなど、入居者が持ち込んだ家電を、スマートスピーカー経由で制御可能にするためのもの。現状、スマートスピーカーでの制御にデフォルト対応しているのはスマートロック「Qrio Smart Lock」やIoT照明「Phillips Hue」など一部の機器のみであることを鑑みて、入居者に引っ越し後すぐスマートホームを体験してもらう目的で設置される。

そして、スマートスピーカー「Amazon Echo Plus」を用いて、家電の操作を行ったり、エネトークでの電力利用状況の照会を行ったりする(後者は2018年の引き渡し後対応予定)。最上位機種である「Amazon Echo Plus」を設置したのは、スマートホームハブ機能を搭載しているためだ。モデルルームでは、スマートスピーカーに「Alexa!」(Amazonの音声アシスタントの名称。これを文頭につけて呼びかけることで、発話がコマンドとして認識される)と呼びかけ、エアコンの電源を入れるデモンストレーションが行われた。

導入機器の中には月額利用料がかかるものもあるが、このマンションにおいては売主である横浜市住宅供給公社が全額負担するため、入居者がスマートホームを体験するにあたっての追加費用は必要ないという。ここまで強く全戸導入を推し進めたのは、このマンションでの利用状況を、老朽化団地の再生を試みる「暮らし再生プロジェクト」にも応用する目的があるという。

2018年1月以降、入居者への引き渡しと共に、これらのスマートホーム機能の説明会や、使用感のアンケートが行われる。アーリーアダプターではない人々の生の声がいったいどのようなものか、利用開始後の反応も気になるところだ。