また、ビットコインで注目された「ブロックチェーン」を教育に活用する動きがあるという。ブロックチェーンは、分散型ネットワークに公開鍵暗号などを組み合わせることで、記録改ざんや不正取引を防ぐ技術で、おもにFinTech領域で注目されている。

そのブロックチェーンを教育に生かすとはどういうことか。佐藤氏によると、これまでの学習履歴をブロックチェーンで記録するのだという。つまり、改ざんできない学習履歴記録が残るということだ。

佐藤氏は「どのような学習を行い、どのような成績なのか改ざんできない記録が残ります。つまり、入学試験などが不要になるということです。これまでの入試では、極端なハナシ、カンニングに成功すれば合格できました。ですが、改ざんできない学習記録があれば、本当の実力が示されますので試験が不要になります。同様に卒業もです」と、教育にブロックチェーンを活用した際の可能性を語る。

教育産業は、全世界で自動車産業よりも規模が大きい約400兆円の市場だという。とはいえ、その市場の大半をまだまだ“アナログ”が担っている。そこにEdTechが急速に普及すれば、“入試・卒業なし”といったような“破壊的ともいえるイノベーション”が巻き起こるかもしれない。

日本のEdTechプレーヤーは?

Studyplus 代表取締役社長 廣瀬高志氏

では、日本のEdTechはどのような状態か。教育にデジタルテクノロジーを生かす取り組みは、ベンチャーを中心にプレーヤーが増えている。その状況について、Studyplus 代表取締役社長 廣瀬高志氏が解説した。

日本のEdTechプレーヤーは、さまざまなカテゴリに分類でき、着実に増え続けているが、それぞれのカテゴリで課題があるという。たとえばStudyplus自体、どのくらい学習したのか、勉強時間の累積時間はどのくらいかといったことをチェックする学習管理アプリ。現在、学習管理の難しさから、学習に対するモチベーションを維持できなくなっている生徒がみられるが、こうしたアプリを活用することである程度サポートできるという。だが、まだまだこうした機能を利用する教育機関は少ないのが現状だ。

そして、冒頭で述べたように、多くの産業にX-Techと呼ばれるようなテクノロジーが浸透してきている。そうした状況のなか、深刻になっているのがエンジニア人材の不足だ。小学校におけるプログラミング教育必修化が義務づけられたが、まだ緒に就いたばかり。プログラミング学習に関わるEdTechをいかに浸透させるか、急がれるところだろう。

ここまで、EdTechに関する先進事例や日本の現状について解説を受けたが、ほんの少しばかり引っかかることがある。それは、“学びの場”は学力向上のためだけにあるのか、ということ。友人と無駄話をしたり部活に打ち込んだり、コミュニケーション能力を高め協働性を磨く場でもある。EdTechに100%傾倒してしまうと、完全個人主義の学習となりかねなく、“人とのつながり”がおろそかにはならないか……。塾や自習ならばよいが、公共教育の場にEdTechをどのくらい活用するのか、バランスが難しいと感じた。

そしてもう一点。これは完全にどうでもよいくだらないことだが、EdTechのワードを聞いたとき「江戸テック」というのを連想した。今はなき東京・多摩地区のテーマパーク「多摩テック」の派生のようで、少し和んだ(笑)。