ハイエンド・ポータブルプレーヤーで強い存在感を示すAstell&Kern(アステル・アンド・ケルン)が、第4世代の新製品「AK70 MKII(マーク・ツー)」を発表した。ポジションとしては第2世代「AK Jr」、第3世代「AK70」を継ぐ製品であり、6月発表の「A&ultima SP1000」を長兄とすれば、末弟に相当するエントリーモデルである。
ついにデュアルDAC構成、フラッグシップの設計思想を採り入れたエントリー機
このAK70 MKIIは、Cirrus Logic製「CS4398」を2基積むデュアルDAC構成。2.5mm4極バランス端子も用意されることをあわせれば、基本構成は第2世代のフラッグシップ「AK240」と同様だ。PCM 384kHz/32bitとDSD 5.6MHzに対応、ただしネイティブ再生は192kHz/24bitまででありAK240と同スペックとは言えないが、音のキャラクタは一新されている。
「バランス再生時の高出力化と低歪・高S/Nの両立」というSP1000の設計思想を取り入れたこともポイントだ。前モデルのAK70はシングルDACでアンバランス2.3Vrms/バランス2.3Vrms(無負荷時)のところ、今回のAK70 MKIIはデュアルDACでアンバランス2.0Vrms/バランス4.0Vrms。
実質的に出力は倍増しており、高調波歪+ノイズ特性もAK70がアンバランス0.0008%@1kHz/バランス0.0007%@1kHzのところ、AK70 MKIIではアンバランス0.0005%@1kHz/バランス0.0005%@1kHzと改善を見せる。
ほかにも、DSD 5.6MHzまでをネイティブ(DoP)再生できるUSB Audioデジタル出力、aptX HD対応のBluetooth出力、DSD再生も可能なDLNAネットワーク機能「AK Connect」のサポート、microSDが最大256GB対応となるなど細部まで見直された。これでエントリーモデルか、と言わしめるほどの充実ぶりだ。
AK JrとAK 70、AK70 MKIIのスペック比較
AK Jr | AK70 | AK70MKII | |
---|---|---|---|
ディスプレイ | TFT 3.1インチ | TFT 3.3インチ | TFT 3.3インチ |
画面解像度 | 240×400 | 480×800 | |
内蔵ストレージ | 64GB | ||
microSDスロット | 1基(最大64GB) | 1基(最大128GB) | 1基(最大256GB) |
DAC | Wolfson WM8740×1 | Cirrus Logic CS4398×1 | Cirrus Logic CS4398×2 |
DSD再生 | ○(2.8MHz)※1 | ○(5.6MHz)※2 | |
USB-Audio | × | ○※3 | |
USB-DAC | ○(PCMのみ、最大96kHz) | ○(PCM 96kHzまで、DSD対応) | |
PCM | 最大192kHz | 最大384kHz※4 | |
2.5mmバランス出力端子 | × | ○ | |
OS | Linux(独自) | Android OS | |
Bluetooth | ○(SBC) | ○(SBC/aptX) | ○(SBC/aptX/aptX HD) |
Wi-Fi | × | ○(2.4GHz) | |
サイズ | 52.9×117×8.9mm | 60.3×96.8×13mm | 62.8×96.8×15.2mm |
重量 | 98g | 132g | 150g |
バッテリー | 1,450mAh | 2,200mAh | 2,500mAh |
※1:PCM 88.2kHz/24bitに変換
※2:PCM 176.4kHz/24bitに変換
※3:PCM最大384kHz、DSD対応(DoP/最大5.6MHz)
※4:352.8kHzは176.4kHz、384kHzは192kHzにダウンコンバート