最後になったが、新しいチップ「A11 Bionic」について。この手のレビューだと、真っ先に取り上げられそうなCPUのアップグレードだが、本稿では最後に持ってきた。

A11 Bionicは6コア構成で、効率コアと性能コアの間でタスクを振り分け、消費電力を抑えつつ、素早い処理が可能だ。4つの効率コアはiPhone 7の最大70%高速で、2つの性能コアは最大25%高速になっている。GPUも30%高速化した。このパワーにより、ARを使ったゲームとアプリでは、これまでとは段違いのレベルの滑らかさとリアル感を実現している。

Sky Guide: View Stars Night or Day

INSIGHT HEART

The Machines AR

Ikea Place

もしかしたら、iPhone 8/8 Plusは同時に発表されたiPhone Xの廉価版、あるいは下位モデルだと思っている人もいるかもしれない。だが、それは大きな間違いだ。これまでにAppleが発売したiPhoneは全てファーストラインで、セカンドラインは存在しない。Appleが売っているのはハードウェアだけでなく、Apple MusicやiBooks、iTunes/App Storeなどでのアプリの利用やサービスも含めた体験を提供しているのだ。その体験こそがiPhoneの体験なのである。それらを快適に利用でき、最新のOSであるiOS 11を使うためにチューンナップされているから、積んでるチップはA11 Bionicで横並びだ。最良の体験を味わってもらうために、最新のデバイスは基本仕様を横並びにしてるのである。

今回の発表を受けて、どのiPhoneを買おうか迷っている人は多いと思う。どれをとっても良いとは思う。例えば、取り回しを良くしたいのならiPhone 8が良いだろう。特に手の小さい女性にはiPhone 8 Plusはちょっと扱いにくいだろうから。一方で、本格的なカメラ撮影機能を楽しみたいなら、iPhone 8 Plusという選択となる。これにiPhone Xが加わるとなると、かなり錯綜したことになるが、筆者としてはそこで「二台持ち」を提案したい。例えば、よく使うメールやメッセージ、通話などはiPhone 8で、写真やムービーを撮ったり、映画を観たりゲームをプレイしたりといった場合はiPhone 8 Plusでといった具合に。状況に応じてiPhoneを使い分けるというのもアリだと思うのだ。片方をキャリア、片方を格安のMVNOにしてもいいし、思い切って、一台はデータ通信専用のSIMを入れて運用するという手段もある。割り切って一台にはSIMを入れず、テザリングで運用するというのもアリだ。テザリングが解禁され、SIMロックフリーモデルが販売されるようになり、MVNOが台頭するようになってからは、二台持ちでもフレキシブルな運用が可能な状況になっているのだ。組み合わせはiPhone 8/8 PlusとiPhone Xだけでなく、より小さいものをと言うなら、iPhone SEでも良い。繰り返すが、今販売されているiPhoneは、全てファーストラインで、iPhoneの全てを体験できるようになっているからだ。今回は、大いに迷って良いが、その中にiPhone 8かiPhone 8 Plusのどちらかが入っているのが理想、ということになるだろう。