もう1つ、iPad Pro 10.5インチとDuet Displayの組み合わせを、MacBook Pro 13インチのセカンドスクリーンとして活用するべきかどうか悩ましい問題が存在します。それは、ネイティブアプリがある、ということです。

MacBook Proのセカンドスクリーンになるということは、キーボードのホームポジションから手を離さずにアプリを切り替えて操作したり、右手にあるマウスで2つ目のスクリーンの中身を探れるということを意味しています。確かにこれは快適だし、セカンドスクリーン化する価値を感じるのですが、一方でiPadをMacと独立させて、それぞれのネイティブアプリを動作させたいということもあります。

iPadとMacで同じアプリを揃えてきたことも、独立させた方が良いと考える理由となりました。

前述の通り、Macだけ、iPadだけで仕事をすることを前提に、エディタアプリのUlyssesや、構成を考えるアウトラインエディタのCloud Outlinerは、いずれもiCloudでMac・iPhone・iPad間のデータの同期を完璧に行ってくれます。例えば、MacのCloud Outlinerで原稿の構成を作り、それをすぐにiPad側で開いて、アウトラインをみながら原稿を書く、といったこともストレスなく実現できるのです。このことは、iPadだけでも、現在の作業を十分こなすことができるということを物語っていますし、2つのデバイスが既にシームレスな連携を実現していることを表しています。

すでにMacBook Proの性能は十分であるため、セカンドスクリーンを設定してもパフォーマンスが落ちることはありません。一方で、iPadにもSafariもメモも存在しているし、画面分割機能も既にサポートしています。

AppleはMacとiPadを分離しない前提でビジネスを進めていますが、だんだん、Macでできて、iPadでできないことは少なくなっていくのでしょう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura