ドイツ・ベルリンで開催されている欧州最大の家電展示会「IFA2017」で、レノボは『スター・ウォーズ』の世界をAR (拡張現実) で体験できる製品「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」を発表した。
Star Wars/ジェダイ・チャレンジはARヘッドセットと、トラッキング・ビーコン、ライトセーバー・コントローラーがセットになっている。ARヘッドセットにAndroidスマホやiPhoneを挿入し、アプリをライトセーバー・コントローラーで操作することでゲームを行っていく仕様だ。
IFA会場で実際に試す
スマホを使ったVR (仮想現実) では、サムスン電子の「Gear VR」やGoogleがプラットフォーム化している「Daydream」が有名だ。これらのVRはゴーグルの中で、目の前にスマホの画面が真正面に置かれており、アプリで表示された映像を見て仮想感を楽しむというものになっている。目の前にスマホ画面があるため、当然ながら、アプリの映像しか見ることができない。
一方、Star Wars/ジェダイ・チャレンジのARヘッドセットは、同じくスマホを挿入するのだが、スマホの画面は目と直角の位置に配置される。目の前には斜めに設置されたハーフミラーが入っており、ユーザーは目の前にある現実世界をハーフミラー越しで見つつ、スマホの画面に映された映像もハーフミラー越しに見るという構造になっている。つまり、ハーフミラーを活用することで、現実世界とアプリの映像をミックスして見ることが可能になる、というわけだ。
実際にゴーグルを装着し、アプリを立ち上げてみると、確かに戦うべきダークサイドの悪役が、体験ブース内で目の前に立っているのが見える。体験ブースには周りには人がたくさんいるのだが、もちろん、そういった人もちゃんと確認できる。まさに、体験ブースに悪役が現れた感覚になってくる。
ライトセーバー・コントローラーは柄の部分しか存在しないが、スイッチを押すと、「ブィン」と鈍い音がして、柄の先から光り輝くビームが一気に伸びる。もちろん、この光景が見えるのはヘッドセットを装着している本人だけであって、周りの人から見れば、何一つ変わっていない。
ヘッドセットに装備されたセンサーとライトセーバー、さらに床に置かれたトラッキング・ビーコンにより、ライトセーバーがどういった位置や動きをしているかがしっかりと把握されているようで、目の前にはライトセーバーから出ているビームが動きに合わせて表示されているのがわかる。
あとは、ひたすら悪役に対して、ライトセーバー・コントローラーを振りかざして戦っていくのみだ。途中、目の前に黄色いバーが縦や横に表示されるので、そこにライトセーバーを合わせることで、相手からの攻撃から身を守ることができる。
体験ゲームは2分ほどであったが、悪役に殺されないように、必死にライトセーバーを振りまくっていたように思う。時に体を左右に動かし、相手からの攻撃にはちょっと怯んで後ろに下がってみたり、相手の隙を見つけて一気に前に出て一気にライトセーバーで攻撃したり。また、ライトセーバーで敵を打ったときや、敵からの攻撃をブロックしたときに実際に触れた感覚が戻ってくるので、結構、本気になって戦ってしまった。
どうやら、ヘッドセットにはインサイドアウト方式の位置を追跡する2つの魚眼センサーが内蔵されているため、敵と戦いながら周辺を歩き回ったり、近づいたり離れたりすることが可能になるようだ。実際、ゲームは2分程度しかなかったが、途中で息が切れ、汗をかくほどであった。
プレイ動画 エピソード1 |
プレイ動画 エピソード2 |
自分はスター・ウォーズに関して、「映画が公開されれば、とりあえず映画館に行く」程度で、熱狂的に詳しいというわけではない。しかし、映画で見たようなライトセーバーでバトルする世界観を、かなり忠実に再現できているように思えた。スター・ウォーズのコアなファンであれば、もっと没入して楽しめるのではないか。
体験コーナーではライトセーバー・バトルしか遊べなかったが、製品版では「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」で登場した、ホログラムで描かれたエイリアンの駒を盤上で動かして争う「ホロチェス」も楽しめる。他にもリビングルームの床の上で、戦略バトルなども行えるという。
これまで数多くのVRやMRの製品を試してきたが、Star Wars/ジェダイ・チャレンジは意外とちゃんとした製品だったように感じた。
実際、ライトセーバーなどの質感はプラスティック感が強く、正直言って、オモチャっぽい域を脱していないのだが、ゴーグルを装着してアプリを起動させれば、そういったことは一切、気にならなくなる。ゴーグルも安っぽい感じがするのだが、そのほうが軽いこともあり、装着したときも頭に重さを感じないのが逆に良かったりもする。
Star Wars/ジェダイ・チャレンジは世界的に11月より販売開始となる。日本でも発売される予定だが、その時期や価格などは後日発表とのことだ。ちなみに、ドイツのレノボサイトでは299.99ユーロと掲載されていた。年内に発売されるとなれば、「自分用のクリスマスプレゼント」に最適かもしれない。