市場動向調査会社の英IHS Markitは8月15日(英国時間)、最新型のスマートフォン(スマホ)は今後、さらにワイドなスクリーンを搭載する傾向が顕著になり、画面アスペクト比18:9(およびそれ以上の縦長)のワイドディスプレイの出荷は2021年に6億1100万枚に達するとの予想を発表した。

グローバルでは2017年3月に発表され、日本では同6月から発売を開始したSamsung ElectronicsのGalaxy S8およびS8+は、縦長の18:9というアスペクト比を使用したスマホという業界トレンドを形成しただけでなく、さらにワイドな18.5:9というアスペクト比を実現したスマホ市場を開拓したという意義は大きいと言える。これらの新しいワイドスクリーンディスプレイは、前世代のGalaxyから外観および感触を変えることなく、より大きなディスプレイをユーザーに提供することを可能とした。

SamsungのGalaxy S8(左)およびGalaxy S8+(右)の外観。サイズは違うがいずれも画面アスペクト比18.5:9のベゼルレス・フレキシブル有機EL(AMOLED)ディスプレイを搭載している。なぜ、こんな中途半端のアスペクト比を採用したかについてSamsungの担当者は「スマートフォンやテレビなどで現在主流の16:9という比率は、映画(シネマスコープ)の21:9という比率と、アナログテレビの4:3という比率の間を取って生まれたものだ。そこでGalaxy S8/S8+では、従来のスマートフォンの比率16:9と、映画の比率21;9のちょうど中間を取る形で、18.5:9という比率を採用した」としている (出所:Samsung Electronics Webサイト)

スマホ向けディスプレイ業界は、より広いアスペクト比の実現について、スマホの性能や無線の通信速度と並行して進歩すると常に予想してきた。実際、長年にわたり、携帯電話の画面表示は、アスペクト比を4:3(QVGA、VGA)から5:3(WVGA)へ、さらに最近では16:9(720HD、FHD、WQHD)へと広げてきており、2016年には16:9のディスプレイを搭載したスマホの出荷台数が全体の90%を占めるに至った。

ディスプレイのアスペクト比16:9への移行は、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS TFT)LCDディスプレイかアクティブマトリクス有機EL(AMOLED)ディスプレイ技術かのいずれかを利用した高精細なディスプレイとともに実現した。スマホメーカーは、ベゼルレスデザインを採用し、ディスプレイ領域をハンドセットの筐体フレームのサイズぎりぎりまで最大化。Galaxy S8/S8+では、 有機ELディスプレイを使用したベゼルレスデザインにより、スクリーンを18.5:9へとさらに拡張した。

Galaxy S8の発売後、ディスプレイメーカーは、さらにワイドな、アスペクト比18:5のスクリーンを720HD+(1,440×720ピクセル)、FHD+(2,160×1,080ピクセル)、WQHD+(2,880×1,440ピクセル)など異なる解像度のディスプレイに導入する準備をしており、このような超ワイドスクリーンを搭載した多様なスマホが、2017年末から2018年にかけて登場する予定である。これによりスマホのディスプレイは、18:9がメインストリームとなり、IHSの予測によれば、18:9およびそれ以上のアスペクト比のディスプレイを搭載するスマホは2017年で1億7000万台であったものが、2021年には6億1100万台へと拡大するという。

なおIHSは、18:5の超ワイドスクリーンが、2017年末に向けたプレミアムスマホ分野における優勢なアスペクト比になると予想している。しかし、スマホブランドは、それぞれのメーカーのデザインコンセプトや仕様にしたがって18:9、18.5:9、19:9といった異なるアスペクト比のディスプレイを導入するだろうとも予測されるとしているほか、従来から存在するアスペクト比16:9のディスプレイについても、今後は、エントリークラスからミドルレンジのスマホでの需要が残り続けることから、生産コストの削減によるコモディティ化が進むだろうとの見解を示している。

画面アスぺクト比別のスマホディスプレイの年間出荷台数(単位:百万台)。2016年は実績、2017年以降は予測、18;9にはそれ以上ワイドなディスプレイを含む (出所:IHS Markit)