台湾TrendForceが8月16日に発表した2017年第2四半期の世界ファブレスICデザインハウスランキングによると、トップがシンガポールに本拠を置くBroadcomとなったほか、2位がQualcomm、そして3位に米NVIDIAがランクインした。トップ10社のうち、台MediaTekと米Marvellを除いた8社がプラス成長を遂げたという。
TrendForceのアナリストであるCY Yao氏は、「トップ10のデザインハウスの第2四半期の売り上げは、概して好調だった。Broadcomが前年同期比17%増となったのは、ネットワークインフラとデータセンターに競争力あるソリューションを提供することができたほか、車載イーサネットチップの主要サプライヤであり、これらの市場での成功が起因している」とする。
また注目されるのは、NVIDIAが同56.7%増と、他社よりも大きく成長を遂げた点だ。同社は、同四半期におけるゲーム市場での動きは大きなものはなかったが、データセンターやプロ用グラフィックス市場での売り上げを大きく伸ばしたため、こうした結果となったという。
一方、台湾ファブレスの雄であるMediaTekは、後述するように、製品戦略上の問題を抱えているため、スマートフォンマーケットでの競争が芳しくなかった。そのため、売り上げが目標に達しなかったという。
MediaTekとQualcommは、スマートフォン市場で激しい競争を繰り広げていることで知られている。MediaTekは、ハイエンドおよびミドルレンジ向けモバイルSoC「P32」を最近発表したが、これが第3四半期の売り上げにどの程度貢献するかは未知数だ。また、Qualcommは、すでに2017年に入って以降、複数のSnapdragonチップセットを発売しており、これらの採用が進めば、第3四半期の売り上げ拡大が期待できることとなる。
こうしたQualcommのモバイルSoCポートフォリオは、Mediatekのそれに比べて完成度が高い。また、Qualcommは、新製品の投入でハイエンドとミドルレンジの間のギャップを埋めることにも成功している。そのため、MediaTekは、モバイル製品で利益を稼ぎ、売上高を増やし、市場シェアを保つことは、近い将来、困難になるといわざるを得ないとDRAMexchangeは指摘している。また、MediaTekのP23は、現在、スマートフォン市場でハイエンドとミドルレンジをターゲットとして価格競争力がある。しかし、スマートフォン市場の成長はすでに飽和気味であるほか、ライバルのQualcommは高級品から廉価品まですべての市場をカバーしたポートフォリオを有する一方、Spreadtrumのような中国のデザインハウスが活発に活動しており、本格的な競争相手になってきた。そのためMediaTekが、ローエンドのモバイルSoCのマーケットシェアを維持するためには、粗利や売上高が業績に悪影響を与えるほどにまで価格を下げる必要性が出てくる可能性もあるとも指摘している。
なお、トップ10のほとんどの企業が第3四半期も引き続き好調な業績を収めることが期待されるという。中でもネットワークインフラ、データセンター、車載エレクトロニクスなど垂直方向の応用分野での半導体需要は大きく、半導体業界の牽引役となると見込まれるという。