人材確保と工夫

将来、国内800店舗を目指していく中で、解消しなければならない課題もある。それは人材確保だ。目下、人手不足を訴える業界は多い。スシローは直営方式をとっているため、店舗を増やせば、その分、スタッフの増員が不可欠になる。水留社長も人材確保を重要課題と捉えている。

ただし、単に雇えばいい、増やせばいいと考えているわけでもない。中長期的には自動化を進展させ、省力化をさらに進めて、課題解決に当たろうともしている。「現在、16、17人のスタッフがキッチンで作業している。目標感としてはこれを10人まで減らしていきたい。いくらでも自動化は可能だが、とにかく味だけは落とさないようにする」と話す。

どの部分で省力化を図るのかを聞けば、かなり地味な取り組みだ。食器洗浄機を改良し、色別に整った皿を取り出せないか、麺類の茹でを自動化できないか、といった類のものだ。ひとつの改善で作業時間を10分減らし、もうひとつの改善でもう10分を減らしていく。その積み重ねで、必要人員を減らしていくことになる。

国内800店舗になったとき、都心部でスシローを見かけることが多くなり、店内に入れば、エリア限定のネタも味わえる。店舗内部では、いそいそと働くスタッフの人数が減り、自動化が進むことになりそうだ。店内に入って、見えるところも見えないところも、スシローが今とは少し変わったものになっていそうだ。