科学技術振興機構(JST)は8月8日、2017年度の「国際科学オリンピック」を終えた日本代表生徒による参加報告や、2018年に茨城県つくば市で開催される「国際情報オリンピック」についての説明を行った。

2017年度 国際科学オリンピックの結果

国際科学オリンピックは、世界中の中等教育課程にある生徒を対象とした「科学技術に関する国際的なコンテスト」。日本では、主に高校生が参加し、2004年から数学や化学、生物学、物理、情報、地学、地理といった計7分野に対しJSTによる参加支援が行われている。教科ごとに筆記・実験・フィールドワークなどの試験を行い、成績順に、金・銀・銅のメダルが授与される。同日時点までに、6分野が開催済みで、結果は、数学が金2名、銀2名、銅2名、化学が金1名、銀3名、生物が銀4名、物理が金2名、銀3名、情報が金3名、銀1名、地理が銀1名、銅1名であった。

国際科学オリンピック2017年大会の日本チームの成績(地理は同日に速報として結果が入ってきたため未反映。地学は8月22日より開催のため未反映)

国内選考会への参加者は増加傾向にある

次世代を担うイノベーション人材を育成

国際科学オリンピックを支援している富士通はこれまで、選考の場における優秀成績者へのノートPCの提供や、小学4~6年生を対象に、コンピュータの仕組みや技術を体感するイベントなどを実施してきた。同社の常務理事人事本部副本部長の梶原ゆみ子氏は、科学技術で人々を幸せにするために、広い視野で、複雑な社会課題を解決できる人材の育成が重要であると説明し、同席した日本代表生徒に対して「失敗することがあっても、そこから学んで、成功の糧にしてほしい。良質な経験をし、多くの人脈やネットワークを作っていってほしい」と、力強いメッセージを送った。

富士通が考える科学技術人材育成の重要性・産業界の役割

30年の歴史中、初の日本開催となる「第30回国際情報オリンピック大会」

2018年9月には、日本で初めての国際情報オリンピックとなる「第30回国際情報オリンピック大会」がつくば市にて行われる。開催日程は2018年9月1日~8日。参加数は約85か国・地域で、参加者数は約860名(選手約320名、関係者約540名)となっている。

大会に参加した生徒の声

「知識、経験も得たが、人脈を得られたのがもっとも大きかった」。参加した生徒は、大会に参加した感想をそう語った。旅行に行けば外国に行く経験ができ、家で勉強をすれば知識が身につくが、今回、国際科学オリンピックに参加したことによって切磋琢磨できる人脈が得られたことは、そうした他で得られる経験とは異なった体験であり、そこに重要性を感じたようだ。

各大会の代表生徒。上段左から国際数学オリンピック代表 高谷悠太くん、国際生物学オリンピック代表 江口彩花さん、下段左から国際化学オリンピック代表 柳生健成くん、国際物理オリンピック代表 渡邉明大くん、国際情報オリンピック代表 川崎理玖くん (高谷くんの「高」は「はしごだか」)

なお、残りの国際地学オリンピックは8月22日よりフランスで開催される予定となっている。