野本氏は感動の総量を高めるために、バヌーシーアプリ内で動画中継(月額有料のグリーンチャンネルWeb契約が必要)を見ながら実況できるように機能を用意した。また、週数回の更新を予定しているバヌーシーのクラブ馬の近況報告にも、コメントを付けられるようにしている。
「会ったことのない人同士でも、同じ馬に出資している身としてコミュニティ内で喜んだり、万が一不幸があっても"悲痛"の共有も可能になります。また掲示板は、バヌーシー登録者だけ見られるようにすることで荒らし行為などは少なくなるでしょうし、出資者については認証マークの導入なども検討しています。そもそも、証券口座の審査で本人確認を取りますから、荒らし行為には至らないとは思いますが」(野本氏)
野本氏が直感で選んだ「おすすめの一頭」
所有感を表現するために、出資馬をCG化したほか「当初は難しいが、実際の競走馬の声も録音しようと考えています」(野本氏)。また、ノーザンファームや下河辺牧場など、当初は6牧場から協力を得てバヌーシーのクラブ馬の近況報告を頻繁に行う。これは、野本氏自身の体験を広く共有したいという思いがあってのことだ。
「競馬ゲームで牧場を訪れることがありますけど、牧場で何をやってるかってみなさん知りませんよね。そこで何が行われているのか。例えば9月まではずっと放牧して、鞍を付けて育成調教に入るのはいつなのか。育成調教の動画を見ていると意外にハードなことをやっているんだな。厩舎だと常に人がいてピリピリしているけど、牧場だと開放的で、競走馬もホッとするんだろうなとか、疑似体験とまでは言えないけど、馬主や競馬関係者だけが見れる世界を知ってもらえたらと思っています」(野本氏)
例えば競走馬の購入は、今回話題となったセリだけでなく「庭先取引」と呼ばれる牧場との直接交渉もある。金額こそ出せないかもしれないが、そうしたライブ感のあるコンテンツも、将来的には提供していきたいと野本氏は話す。
「庭先取引では、多くの馬主さんは生まれたばかりの当歳馬(生まれたて)を買わないケースが多い。ですが、そういう時期からの成長を見守ってこそ、先程も言った『感動の度合い』に繋がる。だから私は2年半前からの準備で、そうした馬も購入してきました。当歳馬を買う時は、血統と直感でこれだと買っています」(野本氏)
その”直感で選んだ”という馬の中で「イチオシの馬は?」と野本氏に尋ねたところ、「もしかしたら一番人気がないかもしれないけれど」と苦笑いしつつ、父ブラックタイド×母ゴッドフェニックスの2015を挙げてくれた。