東芝ブランドの信頼

石渡: マイディアグループは、白物家電専業の会社ですから、白物家電に対して、成長投資を行うことが当たり前です。新製品を開発したり、新たな技術を開発したり、ブランドに対するマーケティング投資も当然のように行います。

しかし、東芝グループでは、投資のプライオリティは、原子力であり、メモリであり、それに対して、白物家電事業は優先順位の一番後ろに位置づけられていたといえます。つまり、白物家電事業への成長投資ができなかったわけです。そこに大きな違いがあります。

正直なところ、TOSHIBAブランドがどこまで毀損しているのかがわからないという不安があります。

確かに、白物家電のシェアはピーク時に比べて落ちていますが、それでも多くの人がTOSHIBAブランドの商品を購入し、サポートしていただいています。長年にわたって積み重ねてきたTOSHIBAブランドに対する信頼をいまだに持っていただいています。

私は、それを裏切ることはできません。

いま、東芝の商品を購入していただいても安心であり、引き続き、商品を投入していく体制が整っていることをわかっていただき、商品の品質や性能にも満足していただきたいと考えています。

――毀損し始めているTOSHIBAブランドを、いま守っているのは、白物家電事業であるという自負はありますか。

石渡: それはあります。もちろん、BtoB事業は、TOSHIBAブランドを形成する重要な役割を果たしてきました。しかし、TOSHIBAというブランドを形づくってきたのは、BtoCをやってきた白物家電であり、テレビのような映像商品であり、そこを個人ユーザーの方々に評価していただき、ブランドの価値が形成されてきた歴史があります。サザエさんや日曜劇場で、BtoC関連製品の広告が少なくなったことが寂しいという声を聞くように、日本のコンシューママーケットに深く浸透しているブランドであることを改めて感じています。

――サザエさんの提供枠を、東芝ライフスタイルに移行するということはできませんか(笑)

石渡: その契約は、東芝枠として行っているものですから、東芝ライフスタイルが契約するわけにはいきません。それは実現できないでしょうね。

新生東芝ライフスタイル、1年での「変化」

――新生東芝ライフスタイルがスタートして、ちょうど1年を経過しました。なにが変わりましたか。

石渡: マイディアグループから、常に言われていることは、「変化」です。すべてのやり方を変えることを求められています。

マイディアグループの方洪波(Paul Fang)CEOは、常に危機感を持っています。マイディアグループは、2016年度実績で、2兆6000億円規模の売上高を誇り、ROSが10%以上の企業です。それにも関わらず、危機感を持っている。

マイディアグループの方洪波(Paul Fang)CEO