こうした活動を通じて、ハラル料理の提供も実現した。ハラル料理はイスラムの戒律で許された料理のこと。楽天は国際色豊かな企業であり、社員の国籍は70カ国におよび、1000人以上の外国籍社員が存在する。そのなかにはイスラム教徒も多数いる。そうした社員から、考慮された食事がしたいという声があがり、ハラル料理の提供が実現したのだ。

ハラル料理

インド人向けの弁当

楽天にはインド人も多い。インド人からは日本のカレーが食べられない、という意見を聞き、かつては教えてもらったレシピをもとにカレーを作ってみたが、彼らの望む味にはならなかった。そこで近場のインド料理店に依頼して、弁当を宅配してもらい、それを昼食時に配ることにした。

ほかにもある。楽天カフェテリアではイベントチックな振る舞いが行われることがある。かつては社食スペースでマグロの解体ショーを行い、マグロ丼をふるまったり、東北楽天ゴールデンイーグルスの試合がある日には験担ぎでトンカツがメニューとして提供されたり、バレンタインデーにはチョコレートフォンデュのタワーが出現したこともあるという。

発案は給食業者が行うものも多いとするが、カフェテリア委員会からも提案する。いずれにしても、給食業者との密な連携が生み出したものとも言えそうだ。戸梶さんが話す。「担当者の意気込み次第で、うまくコミュニケーションが取れれば、充実したカフェテリアになると思う」。

賑わう楽天カフェテリア。3食無料は目を引くが、それだけで賑わいが生まれているわけではない。カフェテリア委員が社員の要望を聞き、時には料理の味にも踏み込む。社員が集まりやすい環境づくりに取り組んでこそ密なコミュニケーションが生まれる。それが仕事にも生きていく。楽天の元気の源は、楽天カフェテリアにあるといっていいのかもしれない。