市場動向調査企業である米Gartnerは7月11日(米国時間)、2017年の半導体市場が、前年比16.8%増の4014億ドルに達するとの予測を発表した。

半導体市場が4000億ドルを突破するのは、およそ半世紀にわたる半導体の歴史上初めてのことである、その市場規模は、2000年に2000億ドルを超えて以降、2010年に3000億ドルを突破したことを踏まえると、17年で市場規模を倍増させたことになる。

Gartnerの調査担当副社長を務めるAndrew Norwood(アンドリュー・ノーウッド)氏は、「メモリの供給不足が半導体市場全体の好況を生み出している。半導体メモリメーカーは、DRAMとNAND型フラッシュメモリ双方の価格を引き上げることに成功しており、結果として売上高と利益をともに増加させている」と述べている。

同社の半導体市場に対する成長率予測は、2017年は全体で16.8%だが、半導体メモリ市場に限った場合、これが同52%増、という伸びを見込んでいる。このため、2017年の半導体メーカーの売上高ランキングには大きな変化が到来する可能性が強まってきた。Norwood氏は、「Samsung Electronicsが、DRAMおよびNANDの世界最大メーカーとして、売上高を伸ばしており、長年にわたって世界トップの半導体メーカーとして君臨してきたIntelを抜く見通しが強まってきた。おそらくSamsungは念願であった世界一の半導体メーカーの称号を得ることになるだろう」と予測している。

Intelは、1992年にNECから半導体の売上高ランキングでトップの座を奪って以降、四半世紀にわたってトップの座を保ってきた。一方のSamsungも2002年に2位の座を獲得して以降、年々、Intelとの差を縮める努力を進めてきた。

ちなみにGartnerは2017年初頭に、今年の半導体市場見通しについて、前年比7.7%増と予測していたが、5月に同12.3%増へと上方修正していた。今回、その予測がさらに同16.8%増へと上方修正したが、実はほかの調査会社も同様に上方修正を繰り返している。その背景には半導体メモリの高騰が予想以上に継続していることにある。とはいえ、メモリ価格は基本的に需給のバランスで決まるため、永遠と上がり続けることはない。Norwood氏も「メモリバブルは2019年に弾けるだろう。半導体メーカー各社はファブを増設しており、供給量が一気に増加するためだ。場合によっては供給過剰になる恐れもある。そうなればSamsungであっても2017年と2018年に得る収益の多くを失う可能性がでてくる」という見方を示し、市場動向を注視するよう警告している。