Moto Zの販売とモジュールの寸法に課題

無論、Moto Modsを広めるためには、それが利用できるMoto Zシリーズの販売拡大が不可欠だ。現在、モトローラの販売を伸ばしているのは下のクラスの「Moto G」シリーズなどだが、今後はより価格が高いMoto Zシリーズの販売をいかに広げていくかが、Moto Modsの広がりを考える上でも重要になってくるだろう。

そうなると、少なくとも日本市場においては、SIMフリー市場だけでなく、販売奨励金によって高額のモデルが購入しやすくなる、大手キャリア向けにも端末を供給することが必要になってくるかもしれない。モトローラはかつて大手キャリアに携帯電話やスマートフォンを提供してきた実績があることから、再参入の可能性もあり得ない話ではないが、現在のキャリア側の要求に応えながらも、自社のアイデンティティを生かした端末を提供できるかが課題の1つとなってくるだろう。

新たに発表された「Moto Z2 Play」は、Moto Zシリーズの中でも安価なモデルとなるが、それでも53,800円と、SIMフリーモデルの中では高額な部類に入る

またもう1つ、Moto Modsの利用が広がるほど、モトローラにとって問題を抱える部分もある。というのもMoto ModsはMoto Zシリーズの寸法に合わせて設計されていることから、Moto Zシリーズの新機種の寸法が変わってしまうと利用できない、あるいは使えてもデザイン的に不整合が起きてくるのだ。

モトローラとしては、Moto Modsの動作はMoto Zシリーズの2世代先まで担保する方針のようだ。だが裏を返せば、その間は端末のサイズ感を大きく変えられないことにもつながってくる。その間にスマートフォンのデザイントレンドが大きく変わった場合、対応が難しくなるというリスクがあるだろう。

Moto Modsのアイデアは非常に特徴的であり、他社との大きな差異化要因にもなっているのは確かだ。だがそれだけに、利用を拡大し、長く提供していく上では課題も多いように感じられる。そうした課題をいかに克服し、コンセプトを広めていけるかがモトローラの戦略上重要なポイントになってくるといえそうだ。