ファーウェイは新スマートフォンとしてP10シリーズ3機種を発売した。最も売行きが見込まれるのは廉価モデルの「P10 lite」だが、新製品発表会で力を入れて解説したのは上位モデルの「P10」と「P10 Plus」。そこには理由がある。

写真左からゲストとして登場した藤本美貴さん、ファーウェイ・ジャパンの呉・波デバイスプレジデント、ゲストの片瀬那奈さん

勢いに乗るファーウェイ

国内のSIMフリースマートフォン市場で絶好調のファーウェイ。昨年発売した廉価モデルの「P9 lite」(市場想定価格税別22,800円、発売当初は同29,980円)がヒットし、メーカー別SIMフリースマホでシェアナンバー1を獲得するまでになった。

2017年1月から5月におけるSIMフリースマートフォンシェア(BCNデータより)

ヒットの理由として、コストとパフォーマンスのバランスに優れていたことが挙げられる。その後継モデルとして「P10 lite」が発売(税別29,980円)され、P10 liteに期待が集まりそうだが、発表会当日にファーウェイが力を入れて説明したのは上位モデルのほうだった。

ライカと共同開発し、カメラ機能に特徴を持たせた「P10」(税別65,800円)と「P10 Plus」(税別72,800円)。多様な機能を持つ上位モデルの解説に力が入ることに、不自然さはない。そうした見方もあろうが、売れ筋と見られるP10 liteの解説は素っ気なく、何か引っ掛かりを覚えるのだ。

P10。端末右上にLEICAの文字が見える

売れるのはP10 lite

当のファーウェイは何を考えているのか。ファーウェイ・ジャパンの呉・波デバイスプレジデントに、売れ行きの見通しについて聞いたところ、「SIMフリースマホ市場では3万円代が普及価格帯。これは当面続く。販売量で見た場合、P10 liteが一番売れると思う」と話す。

それであれば、P10 lite推しでもいいはず。だが、そうならなかったのは理由がある。今のうちから上位モデルを認知して欲しいというメッセージがあるからだ。

呉氏の説明はこうだ。日本のSIMフリースマホは市場が形成され始めた2014年、2台目としての需要があったが、今ではメイン端末として利用されるようになってきた。本来、日本で一番売れているのは、価格帯の高い端末。こうした傾向から、今後は上位モデルがフォーカスされていくと見ている。呉氏は「あくまで個人の見解だが、他社も500ドル以上の新機種を出していくと思う。プレイヤーが集まれば、市場のパイも大きくなっていく」と話す。

同社の課題は、500ドル以上の端末の普及である。そのため、今後を考えるのであれば、P10 liteではなく、上位モデルをどうにかしたいというのがファーウェイの本音。ブランディングの観点から、認知度を向上させるべく、発表会では上位モデルの説明に時間を割いたようだ。