Live Photosは2015年に発売されたiPhone 6sで採用された写真の撮影方式だ。通常の静止画のシャッター前後1.5秒ずつ、合計3秒の映像と音声が記録され、写真とともに保存される。

このビデオ部分の画質は写真のそれに劣るが、シャッターの瞬間の前後の情景を切り取れ、写真の新しい体験を提供することになった。サードパーティーにもAPIが公開されるようになり、Appleの写真系のアプリ以外にも、Live Photosを表示できる環境は増えていくことになるだろう。

今回のカメラのアップデートでは、このLive Photosの強化がポイントだ。iOS 11では、次のような編集機能が追加された。

  • ビデオ部分のトリム編集
  • キーとなる写真をビデオから選択
  • 音声のミュート
  • ビデオ部分のループ再生
  • ビデオ部分のバウンス再生
  • 長時間露光

いずれも、写真を元に機械学習によって、スムーズなビデオ編集や手ぶれのない長時間露光写真を手軽に撮影できるようになるという。

Live Photosの主な強化ポイント

この中で気になるのが、「キーとなる写真を選択」できるようになる機能だ。Live Photosの写真はこれまで、シャッターを押した瞬間のものが使われていた。しかしiOS 11では、あとからキーとなる写真を選択できるようになるという。

さらに気になるのは、Live Photos向けのビデオのクオリティが向上しているかどうかという点だ。Live Photosを撮影する際、iOS 10までは、1920×1080ピクセル、12~15fpsの3秒のビデオが撮影されてきた。当然、iPhoneの1200万画素のカメラで撮影するフル解像度、4032×3024の画質には劣るわけで、今までの仕様のままで「キーとなる写真」をビデオから選択すると、写真の品質としては非常に低いものになる可能性が高い。

そのため、Live Photosのビデオ記録は、iPhoneのカメラの解像度いっぱいまで伸長されるのではないか、と推測できる。シャッターチャンスを逃さない、後からビデオとして利用しても高解像度が保たれ、かつ、今まで以上に高い圧縮率で保存できるのであれば、Live Photosで撮影しない理由がなくなるのではないか、と思う。