これはカメラの機能と言うべきか、SiriやWalletの機能と言うべきか悩むところだが、iPhoneはiOSとして、QRコードの読み取りをサポートした。

大々的なアナウンスではなかったが、QRコードをサポート

QRコードは日本で生まれ、スマートフォン以前のケータイの時代から、ウェブのアドレスやメールアドレスを端末に取り込むための途方として使われてきた。メッセージアプリのフレンド登録の手段にもなっているし、中国では決済方法としても機能する、日本を含むアジア圏での重要な機能となっている。

特に中国市場を意識した際、QRコードのサポートはもはや避けては通れなくなっており、Appleもニーズに応えて搭載する運びとなったようだ。非接触かつセキュリティに配慮した通信が可能なNFCは、前述の決済や人と会っている際の情報のやりとりに適しているし(その割にはiOS 11までは、Apple Payに閉じてNFCが活用されてきたという面もあるのだが)、古くさくデザイン性が薄いQRコードをパスして、NFCによる世界を作り上げようと、Appleは考えていたはずなのだが。この件に関しては、もはや、Apple Payを普及させたいという目論見よりも、中国の実情を優先せざるを得ないということを端的に示しているのかもしれない。Appleの中国市場に対する依存度は引き続き高い水準にある、ということなのだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura