Appleはカリフォルニア州サンノゼで現地時間6月5日より、世界開発者会議「WWDC 2017」を開催。基調講演とハンズオンから、発表内容について振り返り、考えていこう。
今回は、Macについての話題だ。macOSはカリフォルニアの景勝地の名をバージョンネームにしているが、近年は、Yosemite以来、カリフォルニアの東の背にあるシエラネバダ山脈内の地名が採用される傾向がある。
2016年のWWDCでは、OS XからmacOSへと名称もアルファベット小文字の文字列+大文字で「OS」というように、他のOSと揃えられることとなった。分かりやすくなった反面、iOSの軍門に下ったような印象を受けた開発者からは不満の声も聞かれた。そんな2016年は「macOS」となって初の「macOS Sierra」というバージョンがリリースされたが、2017年は「macOS High Sierra」という名称の新OSが発表された。名前からも想像がつくと思うが、Sierraの改良版に当たる。
High Sierraで期待されることは、Macの動作の高速化と、リソース活用の効率化だ。基調講演では、Safariが最速ブラウザになる点を強調した。Chromeに比べてJavaScriptのパフォーマンスを80%向上させ、自動音声再生ブロックや追跡ブロックといった実用性、セキュリティの向上を図っている。
ディスクスペースの効率化にも寄与しそうだ。メールではアーカイブの保存容量が35%少なくなると指摘しており、また写真やビデオはそれぞれHEIF (High Efficiency Image Format)、HEVC (the High Efficiency Video Codec、H.265)が採用され、保存容量を半分ほどに減らせる。
また、標準のファイルシステムは、既にiOS 10で採用されたApple File Systemに置き換えられる。iPhoneでも、ファイル処理の高速化という効果が現れてており、より性能の高いCPUとフラッシュメモリを採用するMacでは、さらに高速化が期待できる。
一般的に、最新OSにはより多くのマシンパワーが求められることが多いが、Macの場合、macOS High Sierraによって、既存マシンもより軽快に動作するようになることが期待されるのだ。