半導体商社であるマクニカとMouser Electronics(マウザー・エレクトロニクス)は5月25日、日本国内のデザイン・エンジニアに向けたサービスおよび技術支援の提供を共同で行っていく戦略的提携を締結したことを正式に発表した。

握手を交わすマウザーのプレジデント&CEOを務めるグレン・スミス氏(左)と、マクニカの代表取締役社長を務める中島潔氏(右)

すでにマクニカでは、2017年5月10日から12日にかけて、東京ビッグサイトにて開催された「Japan IT Week 春 2017」内の「第6回 IoT/M2M展」の自社ブースにおいて、今回の取り組みに関するβ版を公開しており、今回、正式にその存在がアナウンスされたこととなる。

半導体商社と一言で言っても、マウザーは試作・開発分野、マクニカは量産分野にフォーカスしたビジネスを展開しており、互いに重なる部分が少なく、長期的なパートナーシップが見込めるということから、今回の協業が決定したという。

今回の協業の具体的な内容としては、マクニカが運営していたオンラインストア(マクニカオンラインストア)より、ストアとしての機能がなくなり、マクニカオンラインサービスとして、オンライン技術サポートサイトの位置づけへと変更。代わりにマウザーのオンラインストアが「Macnica-Mouser」として、双方の取り扱い製品を購入することが可能となった。同サイトには、400万点の商品が展開されているとのことで、マクニカが提供する製品(国内販売代理店契約をしている33メーカー)はマクニカ側のサポートを受けることができるという。

この協業がもたらす利点として、試作・開発の段階からマクニカが購入者の情報を把握することが可能となり、速やかな量産への移行を支援することを可能とする、ということを両社は挙げている。また、ユーザー側からしても、Webサイト上にあるマクニカオンラインサービスのリンクを踏むことで、日本語による技術サポートなどを受けることが可能になることがメリットになるという。

マウザーとマクニカの提携の背景と、提携における両社の役割

ちなみに、物流と支払いに関してはマウザーが一手に引き受ける形で、販売に際しての2社の取り分比率などについては、その旨に関する協定が存在はしているが、非公開とのことである。

オンラインストアで購入した電子部品はマウザーの本社・倉庫がある米国テキサス州より数日以内に全世界の顧客に向けて配送される

なお、こうした協業も含め、マウザーでは2017年の日本市場の目標成長率を、APACの前年比30%増よりも高い同31%増としており、「日本地域のみで、これだけの成長率を見込んでいる半導体商社(代理店)は、ほかにほとんどいないのではないか」と強気の姿勢を示し、出荷システムの自動化などによる効率化を含め、日本市場での成長を目指していくとしている。

マウザーの日本における顧客としてはOEMが圧倒的に多く、中でもインダストリアル分野のエンジニアが過半数を超す状況となっている