初年度から1,500円という割引が受けられる「docomo with」だが、料金を単純に比較すれば、MVNOのほうが圧倒的に安い。

多くの人が選ぶであろう「カケホーダイライト」プランと比較するため、MVNO側で同等の定額通話オプションを追加したケースを計算してみると、2GB容量のデータ通信を含む場合、たとえばDMM mobileでは1,380円(「通話対応SIMプラン 2GB」税別)+850円(「5分かけ放題」税別)=2,230円(税込2,408円)で済んでしまう。「docomo with」のほぼ半額だ。

また、auやソフトバンクはサブブランドとしてUQ mobileやY!mobileという低価格路線のブランドを持っており、月額1,980円、2,980円といった格安プランを武器に、MVNOに流れるユーザーを一定の割合で自社サービスに食い止めている。

ドコモはこうしたサブブランドを持っていないため、実質サブブランドとして「docomo with」を使いたいのかとも思われたが、発表会場で記者の質問に答えたドコモの吉澤社長によれば、そういった意図はないという。

「docomo with」のターゲットは?

単純な安さではMVNOに敵わず、サブブランドとしての展開も考えていない。では「docomo with」はどういったユーザーがターゲットになっているのだろうか?

これは筆者の想像の域を出ないのだが、ドコモユーザー、特に長期間契約を続けているユーザーは、単純な安さや新技術への興味よりも、「通話できればいい」という割り切りや、サポート体制やブランドといった安心感の重視、あるいは自分で設定する手間を惜しんでいる人が多いと推測される。

こうしたユーザーは、ドコモにとっては(未だにドコモが4Gに完全移行できない足枷でもあるのだが)長期間使い続けてくれて、今後もMNPなどで転出する可能性が低い、いわば「上客」だ。こうしたユーザーに対して、スマートフォンへの移行を促すとともに、長期利用への見返りとしても永年値引きを用意した、こんな筋書きだったのではないかと予想している。

また、前述したようにSIMフリーや中古端末を利用しても値引き自体は変わらないので、自分で設定やSIMの差し替えができる、ある程度知識があるユーザーにとってもお得なプランになる。加えて、従来ドコモが推進してきた、(家族などの)複数ユーザーだけを対象とした割引ではなく、1回線のみ使っているユーザーも公平に割り引かれるのもポイントだろう。メールアドレスの問題などでMVNOなどにMNPする気はないが、すこしでもお得に使いたいという層にとっては面白い選択肢になるのではないだろうか。