MVNOは「安心・安全」への取り組みに注力

これらから、MVNOに求められるのは「安心・安全」を訴えかけていくことである。通信に関心の高い利用者であれば、補助は少なくて済むが、そうもいかないのが現状とうわけだ。実際、どのMVNOも安心・安全を重視した取り組みを進めている。

不安の解消・低減につなげるために、電話やチャットでの応答のほか、リアル店舗での対面販売を強化とサポートを行っている。それ以外の面でも、格安SIMに関するウェブコンテンツや小冊子の作成(NTTコミュニケーションズ)や、端末の1週間無料貸し出しサービスの実施(イオンモバイル)など、取り組み方は各社各様だ。

逆にいえば、この安心・安全への取り組みを進めている結果として、MVNOではサービス差別化まで手が回っていないのではないかと思われるほどだ。

NTTコミュニケーションズが作成した冊子

格安通信を巡り今後注目しておくべきこと

MVNOの求心力が高まることで予想されるのは、大手通信会社(サブブランドを含む)との競争の激化だ。先日、NTTドコモは「docomo with」という新プランを発表した。2万円半ばと3万円半ばの対象2機種、いずれかを定価購入することで、永続的に月額1,500円の割引きが得られるというプランだ。この端末の価格帯は、先に挙げた「MVNOで人気になっている端末の価格帯」と一致する。

ドコモ自体は、MVNOやサブブランドへの対抗策ではないとしているが、結果的に流出を防ぐ策となり、MVNOからの見方は対抗策に過ぎない。ドコモに続き、今後、他の大手通信会社がどういった施策を打ち出してくるのかは注目されるところだ。

「ミドルスペックのスマホの人気」「60代以上の高齢者への広がり」(10代への施策は学割ですでに大手は実施済みのため)といったMVNOにまつわるキーワードを頭の隅に置きながら、大手の施策と照らし合わせてみると、大手の本音が見えてきそうだ。