Appleが、Today at Appleで展開するのは、米国のテクノロジー企業でも唯一の「学びによるマーケティング」だ。

Appleは自社の製品を直感的で使いやすくすることによって、手にするだけで新しいことに取り組める価値を人々に提供するよう努めてきた。ある意味で、新しい物事に対する「学習コスト」を極限まで下げることで、価値を作り出してきた企業だ。

Today at Appleは、その取り払った学習コストで手にしたデバイスについて、より理解を深めることで、顧客と製品、あるいはAppleの活用を広がりのあるものにしてもらおうという取り組みである。ひいては、より長い間、顧客であり続けてもらえるという見込みも含めて。

何より、学んでできるようになることは、喜びでもある。そうした達成感や、実際に仕事に役立つ習得ができる、非常にポジティブな体験が、集まるようになる。米国において、直営店を全国規模で展開できているテクノロジー企業はAppleのみであり、新しい製品をリリースする際、いち早く触れて体験してもらう場として、非常に有効に作用した。Apple Storeを、Apple製品がある生活や学習、仕事について学ぶ場所へと変えることで、新製品や買い足したいアクセサリがなくても訪れるようになる。その場所へ行くことが日常になるのだ。

もし写真がうまくなりたいと思ったら、Apple Storeでの写真に関するセッションを予約しまくり、プロのフォトグラファーと写真を撮りながら歩いて仲良くなることもできる。あるいはデザインに興味がある学生が、手元のiPadで思い通りに作品が作れるようになるだろう。地道に見えるかもしれないが、学びによって人々の体験が拡がる場所を演出するApple Storeの新しい展開は、非常に価値のあるものになるはずだ。