それでは本題に入ります。現実世界を撮影するRGBカメラ、端末自体の動きを取得するモーショントラッキングカメラ(魚眼カメラ)、距離や奥行きを計測する深度カメラを搭載しているZenFone ARは、その名の通りAR(拡張現実)をサポートしたTango対応スマートフォンです。Tango対応スマートフォンでは下記のようなアプリケーションを利用できます。

8i LTD「HOLO(beta)」はさまざまなキャラクターを現実世界に重ね合わせるカメラアプリ。現時点で20パターンのキャラクターが用意されています。キャラクターを踊らせて、動画を撮影することも可能です

Matterport,Inc.「Matterport Scenes」は空間や物体を3Dモデルとして取り込めるキャプチャーアプリです。キャプチャー後に「Measure」ツールを利用すれば、空間の広さや物体の大きさを計測できるので、インテリアや家電製品を購入する際に役立ちます

Schell Games「Domino World」は見たまんまのドミノゲーム。現実の床や机に仮想的な牌を並べて、ドミノ倒しを楽しみます。仮想現実の牌だから何度でも倒せますし、保存することも可能。巨大ドミノを制作する前のシミュレーションにも有効かもしれません

Google「Measure」は測定に特化したユーティリティー。平面に描いた多角形を引き延ばす操作で立方体にできるので、様々なスペースを手軽に計測可能です。ただし多少の誤差はあるので、サイズがギリギリなら本物のメジャーで正確に計測しましょう

Tango対応スマートフォン1号機としては、レノボから「PHAB2 Pro」が発売されています。6.4インチディスプレイを搭載するPHAB2 Proに比べると、ZenFone ARは5.7インチとコンパクトなディスプレイを採用していますが、AR体験としては大きな違いは感じませんでした。AR体験中は画面に集中するので、多少のサイズ差は気にならないのかもしれません。

特筆しておきたいのが処理性能による優位性。AnTuTu BenchmarkのスコアでPHAB2 Proの2倍に近いスコアを記録しているZenFone ARは、Tango対応アプリの起動から、あらゆる操作まで非常に快適です。実売価格54,000円前後のPHAB2 Proと、希望小売価格82,800円からのZenFone ARを比べるのは酷ですが、とっかえひっかえTango対応アプリを試すのなら後者を選ぶべきです。

2017年度内に130本のTango対応アプリがリリースされる予定ですが、20日時点ではコンシューマー向けに販売されているTango対応端末はPHAB2 Proしかないので、まだまだ対応アプリが少ないというのが現状です。ZenFone ARの発表会ではルームコーディネートアプリ「RoomCo AR」が披露されていましたが、夏までによりたくさんのTango対応アプリがリリースされるのを期待したいところです。