説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneはIPアドレスを知らなくても通信できるってホント?』という質問に答えます。

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はい、本当です。iPhoneのシステム(iOS)とその元になったMacのシステム(macOS)には「Bonjour」(ボンジュール)と呼ばれるIPアドレス自動設定機能が含まれており、Wi-Fiアクセスポイントに接続すれば、同じネットワーク(LAN)上にあるiPhone/iPad、MacとIPアドレスを指定しなくても通信できます。

Bonjourは、Appleが開発したゼロ・コンフィグレーション機能(IPアドレスの自動設定機能)です。Macの機能として「Rendezvous」(ランデブー)という名称で登場し、やがてWindows向けにも提供開始されました。パソコンやプリンタなどBonjour対応機器をLANに接続すると、IPアドレスと名前(ホスト名)が自動的に割り振られるので、なんの設定もなくネットワークに接続できます。

iPhoneでは、Wi-Fiルータ -- 正確にはWi-Fiルータ上で動作するDHCPサーバ -- が貸し出すIPアドレスにiPhoneの名前を関連付ける形でホスト名が設定されます。iPhoneの名前とは、『設定』→「一般」→「情報」画面の「名前」欄にある文字列のことで、そこに「.local」というドメイン名が付きます。たとえば、iPhoneの名前が「Shinobu7」のとき、Bonjourの名前は「Shinobu7.local」ということになります。

このルールを覚えておけば、ネットワーク経由でパソコンからiPhoneへかんたんにアクセスできます。ネットワークに接続されていることを確認するとき、よく「ping」というコマンドが利用されますが、IPアドレスを確認しなくても「ping ○○○.local」で事足ります。iPhoneをサーバ化するアプリを利用する場合でも、URLを「http://○○○.local」とすればOKです。

iPhoneには「iPhoneの名前.local」というホスト名が自動設定されるため、IPアドレスを調べなくても通信できます