1年生から毎朝15分、ネイティブスピーカーによる15分間の英語の授業が行われる関西大学初等部。アルファベットや英単語へのストレスが低くなれば、プログラミング教育、コードを学ぶ上で非常に有利となっていく。

図書の授業時間を使って行われるそのプログラミングの授業は、想像をはるかに超えたものだった。

堀氏は、iPad miniとSwift Playgroundsを用いたプログラミングの授業を担当しており、筆者が見学した日はSwiftの「func」(function、日本語では関数)をテーマとしていた。funcには自由に名前をつけることができ、その中に書いたコードを、自分でつけた名前で任意に呼び出せる、ということを理解する、コード教育導入時の1つの山場だ。

それを理解するために、iPadを使わず、2つのアクティビティから検討するというアプローチを採った。

まずは体育祭で踊ったダンスのビデオを見せ、そのダンスを覚えたときのことを思い出させた。このとき、funcとダンスの関係を考えてみよう、というテーマを与えている。例えば、手を握って体の前で左右に動かす動き。この振り付けを覚えるときに、猫の動きになぞらえて「にゃんにゃん」と声をかけていた。知っている人であれば、複数の動作を組み合わせた連続的な動きに名前をつけ、覚えやすくしていつでも呼び出せるようにすることは、Swiftでいえばfunc(関数)そのものなのだ。ちなみに、ダンスの例は、過去に学んだプログラミングの概念、Command(1つずつの命令)とSequence(命令の連続)の復習にもなっている。

堀氏はまだこの段階では答えを言わず、次のアクティビティに移る。

今度は、お母さんにプレゼントするネックレスを、ブロックで作ろうというもの。2人グループで2分間で作ったブロックのネックレスに名前をつけて写真を撮り、すぐにブロックを片付ける。思い思いのネックレスができあがり、それぞれ異なる名前がついている。そこでは、1つの名前が1つのネックレスに対応している。

funcを学ぶ際のアクティビティ。ネックレスを作って名前をつけ、あとでソの写真を呼び出すことで、funcで目指していることや、効率性を身につけていた

こうして、手順を束ねて関数を作り、任意の名前をつけて、必要なときにその名前で呼び出せることへの理解を促していた。