関西大学初等部では、Swift Playgroundsの授業の他に、4年生の理科の実験、1年生の算数の「たしざん」の単元の授業を見学することができた。

理科の実験では、金属を熱したときの熱の伝わり方を観察するテーマで、実験の様子をiPadで撮影し、Keynoteに貼り付けてプレゼンテーションを仕上げていた。複数のiPadで撮影したビデオを1台のiPadにまとめる際、躊躇なくAirDropを使ってファイルを受け渡している様子に驚かされた。

また、先生の創意工夫が光るのが1年生の算数の授業だった。iPad上で動作するAppleの表計算アプリNumbersを用いて、「たしざんビンゴ」が行われていた。これはオリジナル教材だという。

iPadを用いた小学校1年生算数の「たしざん」の授業。Numbersに作られたオリジナルのビンゴゲームで、足し算の活用方法を学んでいた

表計算のシートの上に1から9までの数字が入ったマスを作り、2種類の数字を組み合わせながら、マスの数字を完成させビンゴを作っていく、というものだ。例えば1と2であれば、全てのマスが埋まるが、3と4では、1と2、5のマスを埋めることができない。生徒は計算問題とは全く異なるスピードでの、短時間に、自分で作った足し算の問題を10問も20問も解いていることになる。またビンゴを完成させるというゴールのために足し算をするというアクティビティのつくりかたにも驚かされた。

iPadに限らず、ICT教育を小学校で導入する際、各教科の中でのスムーズな活用をどれだけ充実させることができるかが重要だ。そうした中で、先生たちが、実生活のアクティビティ、思考力というテーマの中で、iPadをいかに活用するかを考えることで、そのゴールを達成している様子が印象的だった。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura