インテルは4月12日、関西電力(関電)、Kii、ぷらっとホームと協力して、関西地区において、一般家庭向けスマートホームIoTプラットフォームの実証実験を2017年4月より開始したことを明らかにした。

インテルのスマートホームに対するビジョンについて、同社代表取締役社長の江田麻季子氏は、「単なる家庭内を自動化するのではなく、機械が誰が居るのかを認識し、行動や意図を理解する『知覚力』、必要としたときに、必要な情報を提供する『俊敏性』、必要とするであろうことを事前に予測して準備しておく『自律性』の3つを盛り込むことで、人間の要求と各家庭の価値観をどこまで提供できるかがポイント」とし、単なる自動化ではなく、誰でも簡単に操作や体験ができるインタフェースが確立することなどを期待しているとした。

インテルが考えるスマートホームのあるべき姿

今回の実証実験は、2017年4月~2018年3月までの期間で、関電管内の100世帯を対象に、Intelのリファレンス環境センサとぷらっとホーム製ホームゲートウェイを利用する形で実施。モニター世帯は、関電が提供している家庭内のエネルギー使用量などを一括してみることができるサービス「はぴeみる電」の会員に向けて募集を実施。2017年8月末までに各家庭への機器の設置などを行い、9月1日から3月末までの半年の期間で、本格的な運用検証を行う予定としている。

今回の実証実験の概要

リファレンス環境センサはQuarkベースで開発されたもので、コンセントに挿すだけで自動的に利用が可能。人感センサ、温度・湿度センサ、CO2センサ、照度センサ、震度センサ、COセンサが搭載されているため、気象データなどと組み合わせたエネルギーのうまい使い方といったことなどを進めることが可能になるという。

また、ホームゲートウェイはAtomベースのモデルで、IoT標準規格の策定とオープンソースプロジェクトの支援を目的とした団体「OCF(The Open Connectivity Foundation)」の仕様に準拠したIoTivityを日本で初めて宅内ゲートウェイのプラットフォームとして採用したもの。インテルでは、異種デバイス間での相互運用性の検証が行われていくこととなるほか、サービスプロバイダ向けにオープンな開発環境とAPIを提供することで、新たなサービスの提供に向けた環境の構築なども進め、最適かつタイムリーなサービスの提供を目指すとしている。

上段がインテルがリファレンスデザインとして開発した環境センサ、下段がぷらっとホームのIoTゲートウェイ「OpenBlocks IoT VX1」

なお、今後は、モバイルヘルスケア、小売りサービス、保険・金融サービス、教育コンテンツサービス、旅行サービスを提供する事業会社とも連携し、家庭におけるサービスアプリケーションの検証を行う予定としているほか、サービス分野の拡張を進めつつ、ビジネスモデルの確立を図ることで、最終的には日本全国への展開や、世界各国への展開へとつなげたいとしている。