購入の動機はどこにあるのか

またスマートホームの文脈では、Amazon EchoもGoogle Homeも差がない。

米国でアパート住まいをしていると、導入できるデバイスはせいぜいスマート電球やスマートコンセントくらいで、寛容な大家さんはNestなどのスマートサーモスタットや、壁に埋め込まれたスイッチを変えさせてくれる程度。もし自由にできる持ち家でも、これらに玄関のドアキーやガレージのリモコン、煙探知機、防犯ウェブカムくらいがせいぜいだ。

より有効な購入動機をいうなら、Wi-Fiに直接つながり、Spotifyなどのストリーミング音楽サービスから、パソコンやスマートフォンなしで音楽が再生できるようにすることだ。

確かに声で音楽のジャンルを言えば再生してくれる手軽さはあるが、音質を求めるなら、米国ではAmazon EchoでもGoogle Homeでもなく、SONOSを選ぶべきだ。

米国ではアマゾンは、企業自体が高い注目度を有しており、ドローン配達や無人食料品店など、世界を先駆けた取り組みは大きく報じられる。そうした文脈と実際の使用感を合わせると、音声アシスタントデバイスでアマゾンやグーグルが先行しているとは言えない。

さらに冷静な意見を言えば、アマゾンとグーグルの音声アシスタントデバイスを合わせても1000万台に届くかどうかという普及状況を見れば、1億台近くで稼動するアップルのSiriがわずかに進歩するだけでも、音声アシスタント市場に対するインパクトがはるかに大きいことがわかる。