個性とラインアップは充実、今後の課題は販路

モトローラ・モビリティは、日本市場においては非常に特色のあるスマートフォンを積極投入し、他社との差異化を図る取り組みを進めてきた。実際Moto G4 Plusでは、他社に先駆けて3G・4Gの同時待ち受けが可能な「デュアルSIM・デュアルスタンバイ」(DSDS)に対応させ、日本で初めて実用的なデュアルSIM機構を実現したことから高い評価を受けた。同社の説明によると、Moto G4 PlusはSIMフリースマートフォン市場において、発売後8週連続で1位の販売シェアを獲得したとしている。

また、昨年10月に発売された同社のフラッグシップモデル「Moto Z」と、その低価格モデル「Moto Z Play」は、背面に「Moto Mods」と呼ばれる拡張モジュールを装着することで、スマートフォンにさまざまな機能を付与できるというコンセプトを導入。スマートフォンをハードウェアで拡張するという新しいアイデアをもたらしたことから、こちらも大きな注目を集めることとなった。

モトローラのフラッグシップ「Moto Z」は、背面に専用のモジュール「Moto Mods」を装着して機能を拡張できるのが特徴だ

そして3月16日には、新たに「Moto G」シリーズの最新モデル「Moto G5」「Moto G5 Plus」の2機種を、3月末に投入することを発表している。Moto G5は5インチ、Moto G5 Plusは5.2インチと手ごろなサイズで、価格的にも入手しやすいモデルとなっているが、Moto G5 Plusは撮像素子が位相差オートフォーカスも兼ねる「デュアルピクセルオートフォーカス」対応の、約1200万画素のカメラセンサーを搭載。より高速なオートフォーカスを実現しているのが、大きな特徴となっている。

3月発売の新機種「Moto G5」(右)と「Moto G5 Plus」(左)。Moto G5 Plusはデュアルピクセルオートフォーカスによって、メインカメラの高速オートフォーカスを実現している

レノボグループならではの事業規模を生かしつつ、Moto Modsのような独自性のある取り組みも進めることによって、モトローラ・モビリティは日本でもようやく復活ののろしを上げることができたといえよう。5~8万円台のMoto Zシリーズに加え、Moto G5シリーズの投入によって2~3万円台の価格レンジもカバーしたことで、ラインアップの充実度も大幅に高まり、他社と対等に戦う体制も整ったといえる。

同社にとって今後大きな課題となってくるのは販路だ。モトローラ・モビリティの端末は、大手家電量販店での取り扱いは進んでいるものの、SIMフリースマートフォンにとって重要な販路の1つとなる、MVNO経由での販路は他のメーカーと比べるとまだあまり進んでいない印象を受ける。SIMフリースマートフォンメーカー同士の競争も非常に激しくなっているだけに、ラインアップが他社に追いついてきた今後は、販売拡大のための戦略が大きく問われるところだ。