子どもの脳への影響は母親の影響が大!?

脳科学者の立場からも、早期にPCに触れるメリットを紹介

最後に、脳学者で東日本国際大学教授・横浜市立大学客員准教授の中野信子氏が「脳学者から見た子どもの能力の引き出し方」と題した講演を実施。昨今話題になっている人工知能の進化によるシンギュラリティが到来した場合、人間に求められるのは人工知能が持てない「問題解決力」ではないかと問いかける。

6歳未満でPCを所有していた場合と、13歳以上で所有し始めた場合では、早い段階でPCを所有していたほうが、さまざまなジャンルの試験で優れた結果を出しているという調査結果を紹介。子どもの脳の成長に、PCが相応の影響力を果たしているのではないかとした。

いわゆる「頭の良さ」に関して、遺伝の影響と環境の影響のどちらが大きいかについても触れた。遺伝の影響はあるものの、頭が悪いマウスを人工的に作って行ったテストでは、広い場所でのびのびと育てたマウスが、狭いケージで育ったマウスよりも能力が高かったことを挙げ、子どもの成長する環境も大きな要因であることを示す。特に、問題解決力を司る脳の前頭前野の成長は21歳ごろに臨界期を迎えるため、10代のうちに多く刺激を与えることが重要であると指摘した。

また、親の経験(成長した環境)が子どもの能力に遺伝することがわかっているが、父親の経験は遺伝せず、母親の経験のみが影響しているという発言には、今回集まった方々がお母さん中心だっただけに、会場中が思わず大きくどよめいていたのが印象深かった。

父親の育った環境は子どもの能力とは関係ないということなので、父親は子どもに対して、現実にさまざまな経験機会を積極的に与えていくことが役割なのだろう

発表が終わった後、参加者でグループを作ってディスカッションを行い、本日の感想を発表して終会した

会場にはWDLCの協賛各社がPCを展示しており、Cherrybitやハコニワゲームなどでプログラミング(スクリプティング)の体験ができるようになっていた

最近の子どもはスマートフォンやタブレットの利用が多く、大学生くらいになってもPCの使い方を知らないというケースも増えているようだが、ビジネスツールやクリエイティブな用途においては、いまだPCに一日の長がある。将来は今よりも、ITへの理解と習熟が求められる時代になる。その時代を生きる子どもたちの基礎教養として、子どもの頃からPCに触れる意義は大きいのではないだろうか。

学校なども設備を強化しているが、予算の都合などもあり、まだまだ一人に一台という体制にはなっていない。PCの価格も随分下落していることでもあり、頃合いを見て子ども一人一人にPCを与えることも考えてみてはいかがだろうか。