富士通クライアントコンピューティング (FCCL) が2月に開催した「FCCLの匠」体験会。そのレポート前編では、FCCL 齋藤邦彰社長のプレゼンを中心に富士通パソコン事業の「今とこれから」について解説した。後編では、FCCLが「今取り組んでいること」と「近い未来に向けて開発を続けていること」について具体的に見ていく。
モバイルソリューションから働き方改革
まずは、労働時間短縮と生産性向上を両立する「働き方改革」に欠かせないセキュリティソリューションから。体験会でデモが披露されたのは、「手のひら静脈認証」と「盗み見防止ツール」、そして「秘密分散方式ソフト」。いずれも、外出先でより安全にPCを扱うための最新技術であり、すでに製品に組み込まれ、実際にビジネスの現場で使われているものだ。
「手のひら静脈認証」は、非接触式のセンサーに手のひらをかざすだけで静脈認証してログインできるという仕組み。しかも、OSを起動する前、BIOSの段階で認証を求めるので、パスワード入力や指紋認証方式に比べて、「なりすまし」の被害に遭う危険性が極めて小さい。
「盗み見防止ツール」は、ノートPCやタブレットのインカメラを活用したもの。初期設定でユーザーの顔をカメラで登録すれば、使用者を常に認識している状態となり、パソコンの前から本人が離れると自動で画面がオフになる。使用中でも、自分の後ろに他人が立って画面を覗き込むと、カメラが登録以外の顔を認識してアラートを出すなど、情報を覗き見される心配がない。
PCを紛失・盗難したときにデータ漏洩を阻止するため開発したのが「秘密分散方式ソフト」。重要なデータをセキュアドライブに移動すると、あらかじめ登録してあるスマートフォンとPCにデータを分割して保存するという仕組みだ。スマホとPCがリンクしている間はデータを扱えるが、リンクを切ってしまうとデータの存在自体が見えなくなる。従来、USBメモリーを使った同様の仕組みは存在したが、スマホと組み合わせたソリューションはFCCLが初めてだ。
昨年来、「働き方改革」が叫ばれているが、オフィスに出社しなければ仕事ができない環境を見直すことも、解決策の一つではないだろうか。重要機密情報を安全に持ち出し、いつでもどこでも作業ができれば、苦痛でしかない通勤時間が削れ、1日の過ごし方が大きく変わる。FCCLのモバイルセキュリティ技術は、そんな期待を抱かせてくれる。