徳川3代将軍・家光は、自らの威光を示すためなのか、それとも純粋に遊行するためなのか「御座船」を建造させた。そして造られたのが「天地丸」「安宅丸」。その安宅丸の名を継ぐクルーズ船が御座船「安宅丸」だ。

日の出桟橋に着港する御座船「安宅丸」

この御座船安宅丸に乗船し、東京湾クルーズを体験する機会があった。

実はこの御座船安宅丸は、進水年月が昭和61年5月、就航年月が昭和61年7月と、30年ほどの年月が経過しており真新しいものではない。だが、同船を管理する両備ホールディングスがメディアを招待してまで、御座船安宅丸による東京湾周遊を行ったのにはワケがある。 それは、同船のリニューアルを大幅に行ったからだ。

船体後方にある展望デッキ(左)。デッキサイドには灯籠まである

両備グループデザイン顧問の水戸岡氏

左が両備グループ代表 兼 CEO 小嶋光信氏、右が水戸岡鋭治氏

そして、このリニューアル・デザインを監修したのが水戸岡鋭治氏だ。水戸岡氏といえば日本を代表するインダストリアル・デザイナーで、JR九州の車両デザインで有名。日本初のクルーズ・トレイン「ななつ星in九州」のデザインを手がけたといえば、ピンとくる方も多いのではないだろうか。

その水戸岡氏が、なぜ御座船安宅丸のデザインを手がけたのか。ハナシは簡単だ。JR九州のデザイン顧問のほか、両備グループのデザイン顧問を引き受けているからだ。ちなみに“両備”とは、その名のとおり「備前」「備中」、つまり岡山県に由来する。そして、水戸岡氏は、九州のイメージが強いが、岡山県出身。氏が両備グループのデザイン顧問に就任したのは、至極自然な流れだ。