岡山大学大学院教育学研究科の岡崎善弘講師の共同研究グループ(金沢大学の浅川淳司准教授、大阪工業大学の石井健太郎講師、九州大学の山田祐樹准教授)は、「ぬいぐるみお泊まり会」が、参加した子どもの読書活動を促進させることを明らかにした。同研究成果は2月28日に、オランダELSEVIER社の科学雑誌「Heliyon」に掲載された。

「ぬいぐるみお泊まり会」は、子どもたちのお気に入りのぬいぐるみを図書館などに一晩「宿泊」させ、ぬいぐるみが図書館で絵本を読んでいる場面を撮影し、その写真を見た子どもたちに図書館や絵本を身近に感じてもらう企画。子どもたちの「読書離れ」の一因として、幼児期からの読書習慣の未形成などが指摘されており、幼児期に読書に興味を持ってもらうためのさまざまな取り組みのひとつとして2006年頃からアメリカで始まった企画だという。読書意欲を向上させるイベントとして人気を呼んでいるが、その教育効果については分かっていなかった。

今回、同研究グループは、お泊まり会前後における子どもの読書活動を調査。同研究は、お泊まり会の効果を実証するとともに、効果が続く期間は3日程度であることや、1カ月後にお泊まり会を思い出させる語りかけを行うことで、効果を維持させられることも発見した。この結果は、お泊まり会が子どもの読書活動を促進させることを示しただけでなく、子どもの空想傾向を理解する新しい切り口としても考えられるということだ。