最大の狙いはヤフーのEC事業強化のため

ソフトバンクもヤフーも、同じソフトバンクグループの傘下企業であることから、両社による連携施策を打ち出すこと自体は自然な流れといえるだろう。元々密接な関係をもつことから、ワイモバイルブランドの方がヤフーとより歩踏み込んだ連携を進めているが、ソフトバンクブランドでもこれまで、先に触れたスマートログインなど、自身のサービスの利用者に対し、ヤフーのサービスを利用しやすい仕組みを整えてきている。

だが一連の施策を見ると、大きな狙いはソフトバンク側ではなく、ヤフー側にあることが分かる。一言で表すならば、ヤフーのEC事業の強化だ。

ヤフーはオークションサービスでは高い人気を博していたものの、Yahoo!ショッピングを主体としたEC事業は、楽天や米アマゾンの陰に隠れてあまり存在感が大きいとはいえない状況であった。そこでヤフーは2013年に「eコマース革命」を打ち出し、Yahoo!ショッピングの出店手数料を無料にするなど、自社のEC事業の大胆な改革を実施。EC事業への注力を進めることで、2社に対抗する姿勢を明確にしたのである。

その成果は着実に表れており、店舗数は45万、商品数は2.3億と大幅に増加。2016年度第2四半期の流通総額も前年同期比128%の成長を遂げるなど、好調な伸びを見せている。しかしながら一昨年には、アマゾンが日本での売上高1兆円を突破するなど著しい躍進を見せる一方、国内のEC事業では老舗の1社であるディー・エヌ・エーが、KDDIにEC事業を売却するなど、EC事業を取り巻く競争環境は非常に激しくなっている。

「eコマース革命」を実施したヤフーのEC事業は、2016年度第2四半期の流通総額が前年同期比128%の伸びを示すなど、好調に伸びているという

今回のように、ヤフーがソフトバンクの各ブランドと、EC事業を主体とした連携を積極的に進めているのも、EC事業を一層伸ばしたいヤフーの狙いが大きいといえるだろう。古くはiモードの時代から、携帯電話は各種コンテンツやサービスの集客エンジンとして重要な役割を果たしてきた。それだけに、多くの会員を抱えるソフトバンクの顧客基盤を活用し、スマートフォンから便利でお得に利用できる施策を提供することにより、Yahoo!ショッピングでの購買を増やし、グループ全体での売り上げを伸ばしたい狙いがあるといえそうだ。

もっとも、アマゾンはプライム会員に向けたコンテンツサービスの強化や、商品の定期購入を手軽にする「Amazon Dash Button」など新しい施策を次々と日本市場に投入しているし、楽天もMVNOによる「楽天モバイル」を急速に拡大してモバイルでの顧客基盤を強化するなど、大手同士による競争は多角化し、より激しいものとなってきている。それだけにヤフーとソフトバンクは今後一層連携を強化し、ECの利用強化のためあらゆる施策を打ち出してくると考えられそうだ。