冬に高級感のある製品を発売する理由

アイスクリームのニーズが高まるのは夏期だと誰しもが考えるところ。実際、総務省家計白書の「1世帯当たりのアイスクリーム支出金額」の2015年度では、8月が1,384円と突出しており、11月は478円、12月は581円と寒い時期は落ち込んでいる。もちろん高級さで消費者の関心を引き付けて購買に結び付けたい、という見方もできるだろう。

しかし、ハーゲンダッツ ジャパンは違った角度から消費者の購買動向に関する分析を行なっていた。キーワードは「贅沢」と「手みやげ」だ。同社は全国の20~39歳の男女600名を対象にしたアンケート調査を実施。その結果、1年の中で特に贅沢したいと感じる季節の1位が11~12月、次いで1~2月で、贅沢をしたい対象で最も多かったのが「食事」だったという。

加えて11~12月はいい夫婦の日やクリスマス、年末など行事が多い時期。手みやげについても、11~12月の手土産は普段より高価にしたいと答えたのは全体の約70%で、友人宅には見栄えの良い華やかなものを持っていきたいという結果が出たそうだ。

ハーゲンダッツ ジャパンが独自に行なった調査。11~12月はホームパーティーが多く、普段より高価な手みやげを持っていきたいという結果になった

つまり冬はいつもよりリッチなもの、良いものを食べたい、またはパーティーなどの手みやげとして持っていきたいと考える傾向が強いということになる。そんな季節にマッチした商品を開発したいというきっかけから登場したのがピスタチオ ベリーである。寒い今の時期にこれまでのラインナップを上回る価格のアイスを出すとなると一見、強気なように見えるが、ハーゲンダッツ ジャパンはむしろ冬こそプレミアム商品を売り出す商機としてとらえていたのだ。

スーパー・コンビニ販売品から路面店、チェーンまで様々な競合がひしめくアイスクリーム業界だが、バニラをはじめとする基幹商品で高い定評を誇るのはもちろんのこと、発表される度に話題となる新商品を提供し続けているハーゲンダッツ ジャパン。同社広報部によるとハーゲンダッツ Spécialitéはくわしいフレーバー内容は未定ながらも、今後も新作を出していく予定だという。今回、初の商品となるピスタチオ ベリー。果たしてこの冬、消費者の心をどこまでとらえることができるだろうか?